この記事では、一部の人が「ドン・ペリニヨン(ドンペリ)」という高級シャンパンを「まずい」と感じる理由について解説します。ドンペリはその独特の風味と複雑な味わいが特徴で、これが一部の人々には合わない場合もあります。また、保存状態や飲む温度によっても味は変わります。さらに、価格と味のバランスが見合っていないと感じる人もいるでしょう。この記事では、それらを詳しく解説し、ドンペリがなぜまずいと感じられるのか、その理由を明らかにします。
ポイント
- ドン・ペリニヨン(ドンペリ)の特徴とその風味の変化
- ドンペリの種類とそれぞれの特性
- ドンペリが高価である理由とその価格設定の背景
- ドンペリが「まずい」と感じる理由とその背景
ドンペリはまずいのに、なぜ高いの?
ドンペリとは
「ドンペリ」とは「ドン・ペリニヨン(Dom Pérignon)」の略で、「モエ・エ・シャンドン(Moët et Chandon)」社が作るシャンパンの銘柄の一つです。
そもそもシャンパンを発明したのは、ベネディクト会の修道士「ドン・ピエール・ペリニヨン(Dom Pierre Pérignon)」と言われています。ドンペリは、その名にちなんで付けられました。
モエ・エ・シャンドン社は、ドンペリ以外にもシャンパンを製造しています。その名も「モエ・エ・シャンドン」です。ドンペリは、モエ・エ・シャンドンよりも高級ランクに位置づけられています。
シャンパンとは
シャンパンとは、フランス北部のシャンパーニュ地方で作られるスパークリングワインのことです。
日本ではシャンパンと言われることが多いですが、フランス語では「シャンパーニュ(Champagne)」、英語では「シャンペイン(Champagne)」となります。
一般的にスパークリングワインは、ワインに砂糖と酵母を加え、二次発酵させることで作られます。この発酵によりアルコールと二酸化炭素が生成され、スパークリングワインの特徴である「泡」が生まれます。
シャンパンは、シャンパーニュ地方で作られたというだけでなく、ブドウの品種や、熟成期間、製造方法など、厳しい取り決めがあり、それをクリアしたものだけがシャンパンを名乗ってよいことになっています。
ドンペリはなぜ高い?
シャンパンの品質は、その年のブドウの出来によって決まります。
しかしシャンパンが作られるシャンパーニュ地方は、最高のブドウが収穫できるとされる一方、ブドウ栽培ができる北限に位置しており、年によって品質のばらつきが大きいとされています。
そこで品質を安定させるために、ブドウから作ったワインを複数年保存しておき、調合するということが行われます。これを「ノンヴィンテージ」と言います。
一方、ブドウの出来が良かった年は、その年のブドウだけを使用して仕込みがされることがあります。これを「ヴィンテージ」と言います。
ドンペリは「ヴィンテージ・シャンパン」です。限られた年にしか生産されないため、希少性が高くなり、値段も高くなります。
またシャンパンの熟成期間は、ノンヴィンテージで15ヶ月以上、ヴィンテージで3年以上と定められています。ドンペリは8年以上熟成していますので、その期間のコストが価格に反映され、より高額になっています。
さらにドンペリは、最高級のシャンパンというブランドイメージを保つために、多大な広告宣伝費がかかっているとされています。それもドンペリの値段が高い要因の一つとなっています。実際にモエ・エ・シャンドン社は、LVMHグループに所属しています。ドンペリが高いのは、高級ファッションブランドはなぜ高いのか同じことです。
ドンペリの種類
ドンペリの飲み頃は、熟成期間で8年、12~15年、25~30年の3回あるとされています。その熟成期間によって、いくつかの種類・グレードに分かれています。またそれぞれ「白」と「ロゼ」があります。
その他、限定ラベルやコラボ商品などがありますが、ここでは代表的なものをご紹介します。
ドン・ペリニヨン
一番代表的なドンペリです。「ドンペリ白」と言われることもあります。
熟成期間は8年です。
ドン・ペリニヨン ロゼ
黒ブドウであるピノ・ノワール種を用いたロゼワインのシャンパンです。ピンク色のラベルが特徴的で、通称「ドンペリピンク」「ピンドン」です。
熟成期間は10年程度です。
ドン・ペリニヨン P2
通常のドンペリを、さらに長期間熟成されたものです。熟成期間は16年です。
P2のロゼも存在します。
ドン・ペリニヨン P3
P2よりも長期間、25年以上熟成させた希少なものです。値段もとても高くなります。
P3にもロゼが存在します。
ドン・ペリニヨン エノテーク
以前販売されていた、熟成期間が15年のものです。現在はP2に引き継がれており、エノテークは販売されていません。
「ドンペリ黒」「ドンペリブラック」などと呼ばれています。特に1976年以前のエノテークを「プラチナ」と呼ぶこともありますが、決まった定義はありません。
ドン・ペリニヨン レゼルヴ・ドゥ・ラベイ
以前販売されていた、熟成期間が20年のものです。エノテークと同じく、現在は販売されていません。
通称「ドンペリゴールド」です。
ドンペリの値段
ドンペリの値段は、古いヴィンテージや、限定商品などで希少になればなるほど高くなるので、一概には言えませんが、だいたいの目安をご紹介します。
通常のドン・ペリニヨンで、2万円前後となります。ロゼは、倍の4万円前後となります。
P2は、8万円程度から。P2のロゼは、やはりその倍で16万円からとなります。
P3は、100万円近くします。そしてP3のロゼは、倍の200万円となります。
エノテークやレゼルヴ・ドゥ・ラベイは、年や保存状態によって大きく変わりますが、数十万円となるのが一般的です。
ドンペリは本当にまずい?
そもそもシャンパンがまずい?
ドンペリはシャンパンの最高級品として位置づけられていますが、人によってはまずいと感じる人もいます。
しかしそれは、他のシャンパンに比べてドンペリがまずいというよりは、シャンパン全般がまずいということが大半だと思います。スパークリングワイン、シャンパン、ドンペリと範囲が絞られていきますが、まずいと感じる人は、その差を感じることもできないことがほとんどだと思われます。
まずはそもそも、アルコールや炭酸が苦手という場合があります。また一般的にシャンパンは辛口なので、甘いカクテルなどを好む人には合わないかもしれません。これらは個人の味覚の問題ということになります。
しかし、個人の味覚ではなく、提供方法に問題がある可能性もあります。シャンパンは冷やして提供することが推奨されていますが、温度が高くなってしまったために、風味が損なわれ、不快な味になったことも考えられます。また保存状態が適切でなかったために、劣化していた可能性もあります。
さらに、値段と味が見合っていないことが、まずいと感じる要因になっている可能性もあります。一般的にシャンパンは高価で、ドンペリはその中でも高級品となります。古いものだと100万円以上することもあります。値段が100倍になったからといって、100倍おいしいわけではないのがシャンパンの世界なので、期待していたほどではなかったというギャップを感じるかもしれません。
最後にとても重要なこととして、飲みたくて飲んだ訳ではない、ということがあります。これはキャバクラやホストクラブなどで、シャンパン、特にドンペリがステータスの象徴として扱われているために起こります。キャバクラやホストクラブでは、「お金を使った」という行為が重要なのであり、シャンパンはその道具に過ぎません。お金を使うためにシャンパンを飲む必要があるという、歪んだ状況が発生しているため、まずいと感じることがあっても当然と言えます。
ドンペリはどんな味なの?
ドンペリはヴィンテージ・シャンパンなので、ヴィンテージ(収穫年)によって味が異なります。その違いを確認するのもドンペリの楽しみ方の一つですが、一般的な特徴についてご紹介します。
まず一番最初に言えることは、泡のきめ細かさです。ドンペリは8年以上、P2やP3では10年以上の長い時間をかけて熟成させます。これがなめらかでシルクのような口当たりとなり、炭酸ガスを注入しただけのスパークリングワインとは、まったく異なる味わいとなります。
また、華やかでフルーティな香りも特徴です。熟成期間が長くなるほど、優しくかつ濃密な香りへと変化していきます。
ドンペリの味は、複雑で、常に変化し、掴みどころがないとも言われます。時間や温度によって変わる表情を楽しむのも、ドンペリならではの体験となります。
ドンペリは酸っぱい?ゲロの味?
ドンペリは、爽やかな酸味も特徴的ですが、人によっては酸っぱいと感じることもあります。それは酸っぱいのが本来の味わいだった場合と、保存状態が悪く劣化して酸っぱくなった場合が考えられます。
しかし人によっては「ゲロの味」と感じる人もいるようです。これはおそらく、上記のキャバクラやホストクラブで、無理やりドンペリを飲んで嘔吐してしまった経験が、元々のドンペリの酸味と紐付けられ、記憶されてしまったものと思われます。これはせっかくの高級なお酒が、「高級」ということを目的として消費されてしまった、不幸な出来事です。
やはりお酒は、「お金を使うこと」や「酔っ払う」ことを目的とせずに、お酒本来の風味をゆっくりと楽しみたいものです。
まとめ ドンペリをまずいと感じる理由
記事の内容をまとめます。
- ドンペリはシャンパンの最高級品と位置づけられている
- ドンペリは8年以上熟成させるため、その期間のコストが価格に反映される
- ドンペリは、そのブランドイメージを保つために多大な広告宣伝費がかかっている
- ドンペリはヴィンテージ・シャンパンで、ヴィンテージによって味が異なる
- ドンペリは泡のきめ細かさと華やかでフルーティな香りが特徴
- ドンペリは爽やかな酸味が特徴で、人によっては酸っぱいと感じることもある
- ドンペリの味は複雑で、時間や温度によって変化する
- シャンパン全般が好みに合わない人は、ドンペリも好みに合わない可能性がある
- シャンパンは冷やして提供することが推奨され、温度が高くなると風味が損なわれる
- シャンパンの保存状態が適切でないと、風味が劣化する可能性がある
- ドンペリは高級品であり、その価格と味が見合わないと感じる人もいる
- キャバクラやホストクラブで、ドンペリがステータスの象徴として扱われることがある