日本三大銘菓は、森八の「長生殿」、大和屋の「越乃雪」、風流堂の「山川」とされています。いずれも落雁に分類される和菓子で、仏教のお供えや、茶の文化と深い関係があります。
ここでは、落雁の概要について簡単にご説明し、それぞれの商品についてご紹介します。
日本三大銘菓の「落雁」とは
銘菓とは何か、落雁とは何か、落雁の食べ方、落雁とよく似た和菓子について解説します。
銘菓とは
「銘菓(めいか)」とは、ものすごく簡単に言えば、有名なお菓子のことです。
特に、茶道が発展した後のお茶菓子として、地元の藩主とつながりの深い、由緒正しいお菓子がそう呼ばれることが多いです。「ひよ子饅頭」や「バターサンド」など、茶道と関係がない近年のお菓子も、その地方の「お土産」として「銘菓」とされています。
「名菓」と書かれることもあります。「銘菓」と「名菓」で意味が異なるという意見もありますが、ほとんど区別されることはないようです。
落雁とは
日本三大銘菓に選ばれているものは、全て「落雁(らくがん)」と呼ばれる和菓子です。
落雁とは、乾燥して水分の少ない和菓子、「干菓子・乾菓子(ひがし)」の一種です。「打菓子(うちがし)」「打物菓子(うちものがし)」とも言われます。米や豆などの穀類の粉に、砂糖や水飴などを加え、木型に入れ、乾燥させて作られたものです。
落雁の由来
まず「落雁」という言葉は、秋の季語で、鳥の雁が池や沼に降りてくる様子のことを言います。
菓子としてのルーツは諸説ありますが、室町時代(1336年~1573年)に中国の「明」から伝わったとされています。
名前の由来は、中国の「南落甘」「軟落甘」から来ているという説や、近江八景(おうみはっけい)の「堅田落雁(かたたのらくがん)」から来ているという説などがあります。
お供物には落雁?
落雁は、お盆やお葬式のお供物としてよく用いられます。なぜ仏教のお供物に使われるようになったかは諸説ありますが、その一つが「百味飲食(ひゃくみおんじき)」に由来する、というものです。釈迦の十大弟子の一人である目連(もくれん)は、餓鬼道に堕ちた母を救うため、釈迦の教えに従い、多くの方にたくさんの食べ物を施す「百味飲食」を行います。特に甘いものは貴重で好まれたことから、落雁をお供えするようになった、というものです。この目連の百味飲食は、「お盆」の起源の一つともされています。
落雁の食べ方
落雁は、お茶菓子としてそのまま食べるのが一般的ですが、ちょっと苦手という人が多いのも事実です。また、お供えしていると、固くなったり、線香の匂いがついてしまったりすることがあります。
そういう場合は、そのまま食べるのではなく、削って砂糖代わりに使いましょう。プリンやクッキーなどの洋菓子に使ったり、コーヒーや紅茶などの飲み物に入れることもできます。また、煮物などの料理に使うこともできます。
落雁のカロリー
落雁は1個10g程度のものが多いです。カロリーは1個あたり40kcal程度です。
落雁の賞味期限
落雁は、デンプンと砂糖でできた乾燥した菓子のため、基本的には日持ちするものです。しかし商品によって包装紙が、和紙・プラスチックフィルムなどの違いがあったり、中に餡やクリームが含まれていたりすることにより、賞味期限が変わってきますので、商品ごとにご確認ください。
落雁と似た和菓子
落雁と和三盆の違い
「和三盆(わさんぼん)」とは、香川県・徳島県の一部で生産されている伝統的な砂糖のことです。またその砂糖を使い、つなぎを使用せずに固めた菓子を「和三盆」と言うこともあります。
落雁は、砂糖の他に、米・麦・豆など穀類の粉が入っているところが異なります。
落雁と白雪糕の違い
「白雪糕(はくせつこう、はくせっこう、はくせっこ)」は、落雁の一種ですが、製法が異なります。
通常の落雁は、蒸した穀物を粉にし、砂糖や水飴を加え、型にはめ、乾燥させます。
白雪糕は、熱していない穀物の粉に、砂糖や水飴を加え、型にはめた後に蒸して、乾燥させます。
落雁と方寸の違い
「方寸(ほうすん)」は、長野県にある竹風堂が販売する落雁の商品名です。
竹風堂は栗菓子で有名ですが、方寸に栗は入っておらず、赤えんどう豆の粉、砂糖、水だけで作られています。
日本三大銘菓 森八「長生殿」
日本三代銘菓に挙げられる森八の落雁「長生殿」について解説します。
森八とは
「森八(もりはち)」は、石川県金沢市にある老舗の和菓子店です。日本三大銘菓の一つとされる「長生殿」の他、「千歳」「黒羊羹」が有名です。
創業は1625年(寛永2年)とされ、400年近い歴史があります。
本店は金沢市にあり、菓子木型の美術館と、茶寮を併設しています。その他、北陸地区・関東地区を中心に20店舗近く展開しています。
住所 | 石川県金沢市大手町10-15 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
長生殿とは
「長生殿(ちょうせいでん)」は、森八で販売している落雁で、日本三大銘菓の一つに挙げられています。徳島県の阿波和三盆糖、北陸産のもち米が使われています。
加賀藩三代藩主である前田利常の命により作られ、茶道遠州流の開祖である小堀政一が命名したとされています。
長生殿生〆
通常、落雁は乾燥させた菓子ですが、乾燥させずにすぐ密封したものです。普通の長生殿よりもふわりとした口当たりです。
賞味期限
通常の長生殿の賞味期限は、約30日です。長生殿生〆は、約8日です。
値段
一箱あたりの枚数により異なりますが、一枚250円ほどです。長生殿生〆の方が、少し高くなります。
日本三大銘菓 越乃雪本舗大和屋「越乃雪」
日本三代銘菓に挙げられる落雁「越乃雪」について解説します。
越乃雪本舗大和屋とは
「越乃雪本舗大和屋」は、新潟県長岡市にある和菓子店です。代表商品である「越乃雪」は、日本三大銘菓の一つに挙げられています。
創業は1778年(安永7年)で、250年近い歴史があります。
本店は現在改装工事中で、2023年冬のリニューアルオープン予定です。その他、新潟伊勢丹店、CoCoLo長岡越後のれん街店、アピタ長岡古正寺店があります。
住所 | 新潟県長岡市柳原町3-3 |
営業時間 | 9:00~17:30 |
越乃雪とは
「越乃雪(こしのゆき)」は、大和屋が販売する落雁で、日本三大銘菓の一つとされています。徳島産の和三盆糖と、越後産のもち米が使われています。雪が降り積もったような白さが特徴です。
賞味期限
常温で約20日です。
値段
一箱あたりの個数によりますが、一個100円ほどです。
日本三大銘菓 風流堂「山川」
日本三代銘菓に挙げられる風流堂の落雁「山川」について解説します。
風流堂とは
「風流堂」は、島根県松江市にある和菓子店です。日本三大銘菓の一つとされる「山川」や、「朝汐」が有名です。
創業は1890年(明治23年)で、130年以上の歴史があります。
店舗は、島根県内で数店舗展開している他、東京の日比谷しまね館でも販売しています。
住所 | 島根県松江市寺町151 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
山川とは
「山川」は、風流堂が販売する落雁の一種で、日本三大銘菓の一つに挙げられています。赤と白が対になっており、赤は紅葉の山、白は川を表しているとされています。
山川は、松江藩の藩主であり茶人の松平治郷が詠んだ「散るは浮き 散らぬは沈む紅葉(もみじば)の 影は高尾の山川の水」という歌にちなみ、1806年(文化3年)に作られたとされています。しかし製法が断絶してしまい、大正時代に入ってから、風流堂の二代目隆平が復刻させました。
山川の原材料は、もち米(寒梅粉)、砂糖、食塩、紅花色素です。しっとりとした食感があります。
古代山川
通常の砂糖の代わりに、和三盆糖が使われています。山川に比べて、さらりとした口溶けがあります。
賞味期限
山川、古代山川ともに10日です。
値段
赤白一組で、通常の山川が1,000円ほど、古代山川は1,200円ほどです。
まとめ 日本三大銘菓について
日本三大銘菓とは、石川県金沢市にある森八の「長生殿」、新潟県長岡市にある大和屋の「越乃雪」、島根県松江市にある風流堂の「山川」のことです。
すべて落雁に分類される和菓子で、原材料はよく似ていますが、見た目や口当たりは異なります。
落雁は、葬式やお盆のお供物としてよく使われる他、茶の文化とともに広まりました。
お役に立ちましたら幸いです。