白ワインの色は、時間とともに、黄色から琥珀色、さらには茶色へと変化します。これは化学反応によるもので、ワインの風味や品質に影響を及ぼします。しかし適切な保存方法を用いれば、これらの変化を最小限に抑えることができます。この記事では、変色の理由と、変色した場合の取り扱い方法について解説します。
ポイント
- 白ワインが変色する主な原因と、その防止方法
- 白ワインの劣化と、味と香りの変化
- 白ワインの食中毒リスクと、その対策
- 変色した白ワインの適切な利用方法
白ワインの変色について理解する
白ワインが変色する理由
白ワインの色は、時間が経つほど変化していきます。透明感のある薄緑から、黄色、褐色、茶色へと変色するのが一般的です。
変色する理由の一つは、酸化重合です。ワインの中に含まれるフェノール類が酸化し、重合することで、より大きな分子を形成します。これによりワインの色が深くなります。さらに重合すると、「澱(おり)」となり沈殿します。
もう一つは、メイラード反応と呼ばれる現象です。ワインの中に含まれる糖類とアミノ酸が反応し、褐色のメラノイジンが形成されます。これは、肉を焼くと、焼色がつくのと同じ反応です。メイラード反応は、ワインを加熱したり、長期間保存したりすることにより進行します。これによって、白ワインの色は褐色に近づいていきます。
白ワインの変色を防ぐには、空気との接触を避け、適切な温度と湿度を保つことが重要です。一般的に、最適は保存温度は7℃~10℃、湿度は60%~70%とされています。
ワインを開封すると、酸化が急速に進むため、できるだけ24時間以内に飲むことが推奨されています。
未開封の白ワインも変色するのか?
白ワインは、未開封であっても、時間とともに黄色から琥珀色へと変色していきます。しかし、それは緩やかな反応です。
未開封のワインがすでに変色している場合は、保存状態が適切でなかった可能性があります。ワインは、高温や直射日光によって酸化が促進され、変色が進行します。
ワインの変色は、必ずしも品質低下を意味していていません。適切な熟成による変色は、より複雑な風味となり、好ましい変化とされています。
白ワインの変色が、適切な熟成によるものなのか、不適切な保存による劣化によるものなのかは、色以外の、香りや、味で判断すると良いでしょう。基本的に、自分にとって嫌な香りや味なのか、という基準で判断すれば大丈夫です。
白ワインが開封後に変色する原因
白ワインは、開封すると急速に酸化が進行し、色調と風味が変化します。これは、空気との接触によるものです。
酸化によりワインの色は、黄色から琥珀色へと変わり、風味も鮮やかさを失い、より重厚なものへと変化します。
開封後のワインは、できれば24時間以内、遅くとも数日以内には飲むことが推奨されています。
酸化の進行を遅らせるには、しっかりと密閉し、冷蔵庫で保存することが最適です。できるだけ空気との接触を避け、冷暗所に保存することで、ワインの風味を長く保つことができます。
しかし冷蔵庫に保存するのにも限界はあるので、開封後の白ワインは、早めに飲むことが推奨されます。
白ワインの劣化と、味と香りの変化
白ワインは、時間とともに色だけでなく、味と香りも変わります。
代表的なものは、空気との接触による酸化です。ワインの中のエタノールが酸素と反応し、酢酸と水に変換されます。これによりワインの酸味が増し、不快な香りを放つことがあります。また、酸化によりアルデヒド類が増加します。アルデヒド類はリンゴのような香りを持っていますが、量が増えると、酸っぱい、不快な香りとなります。
また、フェノール化合物が酸化し、重合すると、苦味を感じることがあります。
糖分とアミノ酸が反応してメラノイジンを形成するメイラード反応では、香ばしい風味が生まれます。
ワインのフレッシュでフルーティな香りは、エステルという化合物が主成分です。エステルは時間とともに分解されるので、新鮮な香りが失われ、フラットな感じになっていきます。この反応は、温度が高いと特に進行します。
これらは、ワインの成分の変化によるものですが、その他にも、コルクや瓶、施設が原因となる劣化もあります。
変色した白ワインの適切な利用方法
変色した白ワインはまだ飲める?
ワインの変色は、必ずしも品質の低下を意味するわけではありません。例えば、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランなどの白ワインは、熟成により色が深まることがあります。これはワインが熟成し、風味が深まっている証拠であり、好ましいことです。
変色した白ワインを飲めるかどうかは、程度によります。少しだけ変色しており、風味に大きな変化がなければ、安心して飲むことができるでしょう。
しかし、色が大幅に変わり、不快な香りがする場合は、飲むのを控えることをおすすめします。飲んではいけないということではないので、自分が許容できるかどうかが、判断基準となります。
白ワインの食中毒リスク
白ワインは、もともと食中毒のリスクが、著しく低い飲み物です。むしろ、食中毒を予防するために使われてきました。白ワインのアルコール含有量は12%~14%で、多くの食中毒を引き起こす微生物の増殖を防いでいます。
しかしこれは絶対的なものではなく、適切な保存状態が守られていないと、微生物が繁殖する可能性があります。特に、酸っぱい、カビ臭い、科学的な香りがするワインは、飲むのを避けるべきです。
ワインのコルクの状態を確認することも重要です。コルクが乾燥していたり、膨らんでいたりする場合は、ワインが適切な状態で保存されていなかった可能性があります。ソムリエが、ワインを開栓した後にコルクの香りを確認するのは、このためです。
また、開封後のワインは、参加により品質が劣化し、微生物が繁殖する可能性が高まります。このため、開封後のワインは冷蔵庫で保存し、できるだけ早く飲むことが求められます。
古い白ワインの使い道
変色した白ワインの使い道について、いくつかご紹介します。
料理
古くなり変色した白ワインは、料理に使うことが一番有効な方法です。
特に、ワインの風味が料理に深みを加える、ソースや煮込み料理に利用すると良いでしょう。例えば、魚介類を使ったアクアパッツァや、ボンゴレビアンコ、白ワイン蒸しといった料理には最適です。ただし、風味が大きく変わってしまっているワインや、不快な香りがするワインは使用しない方が良いでしょう。
ワインビネガー
少し時間はかかりますが、ワインビネガーを作るのも一つの手です。日本で酢と言えば米酢ですが、フランスではワインビネガーを指します。
作り方は、ワインに酢酸菌を加える方法と、酢酸菌の代わりに別の酢を加える方法があります。加えた後は、数週間~数ヶ月放置するだけです。
ワインジャム
ワインに砂糖を加え、スパイス、フルーツなどと一緒に煮込めば、ワインジャムの完成です。パンやチーズによく合います。
プレゼントとしても喜ばれます。
カクテル
白ワインを使ったカクテルとしては、炭酸を加えたスプリッツァーや、カシスリキュールを加えたキール、ジンジャエールで割ったオペレーター、オレンジジュースを混ぜたクーラーがよく知られています。
ただし古いワインは酸味が強くなってきているので、糖分やフルーツを加え、味見をしながら作るとよいでしょう。
デザート
古くなった白ワインは、デザートの材料として使うことも出来ます。
ゼリー、ムース、グラニテなど、様々な使い道があります。
まとめ 変色した白ワインについて
記事の内容をまとめます。
- 白ワインの色は時間が経つと変化し、透明感のある薄緑から黄色、褐色、茶色へと変色する
- 変色の原因として、酸化重合、メイラード反応などがある
- 白ワインの変色を防ぐには空気との接触を避け、適切な温度と湿度を保つことが重要
- ワインを開封すると酸化が急速に進むため、24時間以内に飲むことが推奨される
- 未開封の白ワインも時間とともに変色する
- ワインの変色は必ずしも品質低下を意味せず、適切な熟成による変色は風味が深まる証拠
- 変色した白ワインの利用方法としては、料理に使うことが一番有効
- 料理の他に、ワインビネガー、ワインジャム、カクテル、デザート作りにも利用可能