結婚指輪は長くに渡り着用するので、気がつくと傷だらけになっていることがほとんどです。この記事では、傷がつく原因と、外したほうがいい場面、メンテナンスを想定した結婚指輪の選び方、自分でメンテナンスする方法と、ジュエリーショップに依頼する場合について、詳しく解説しています。
ポイント
- 結婚指輪に傷がつく原因と、外したほうがいい場面
- 傷がつきにくい結婚指輪の選び方
- 金属の特性と硬さ
- 結婚指輪をメンテナンスする方法
結婚指輪がボロボロになるのを予防するには?
結婚指輪に傷がつく原因と、傷がつきにくい結婚指輪の選び方、金属による違いについて解説します。
結婚指輪に傷がつくのは仕方ない?
結婚指輪に傷がつくことは避けられません。頻度の問題です。
できることと言えば、なるべく傷がつかないようにすることと、定期的にメンテナンスして傷が目立たないようにすることくらいです。
または、傷は勲章と考えて開き直るかです。特に子どもができると、それどころではなくなって、考えも変わってくるものです。
とは言え、大切に使うことに越したことはないので、参考になるような情報をご紹介します。
結婚指輪はつけっぱなしでも大丈夫?
指輪をつけっぱなしてもいいかは、指と指輪の、両方から考える必要があります。
体質による違い
金属アレルギーがあったり、敏感肌だったりする場合に、長時間同じ場所に身に着けていると、不快感があったり、発疹が生じることがあります。
生活習慣の違い
激しい運動、重労働、水仕事などを行う場合は、指輪は外した方が安全かもしれません。
指輪に傷がつくだけでなく、指の方にダメージがある場合があります。
また、なくしてしまうリスクも高いです。
素材による違い
ゴールドやプラチナのような貴金属だけで作られた結婚指輪は、体質や生活習慣の問題を除けば、つけっぱなしにしていても大丈夫なことが多いです。
しかし、指輪にダイヤモンドなどの宝石がはめ込まれている場合は、取れてしまう可能性もあるので、より注意が必要です。
結婚指輪をずっとつけている人の割合は?
結婚指輪をずっとつけている人の割合は、様々な調査がありますが、だいたい以下のようです。
- 女性:5~6割
- 男性:3~5割
約半数の人は、場合によっては外しています。
逆に、約半数の人はずっとつけていて何も問題が起きていない、または気にしていないということになります。
ですから、そこまで心配する必要はないと言えるのではないでしょうか。
結婚指輪に傷がつく原因は?
指輪に傷がつく代表的な原因をご紹介します。逆に言えば、これを避ければ、傷がつく頻度を減らすことができます。
硬いものとの接触
硬いものと言えば、他の金属があります。日常生活の中では、ドアノブ、水道の蛇口など、何気ない接触でも、細かな傷の原因となります。
また、皿などの陶器も硬いものです。ですから、家事全般をする時は、外したほうが無難でしょう。
保管をするときには、他のアクセサリーと擦れ合わないようにすることも大切です。
強い力
重いものを持ち上げたり、激しい運動をしたりすると、傷がついたり、歪んだりする原因となります。
スポーツをする時は外したほうがよいでしょう。
化学物質による損傷
洗剤、化粧品、塩素などの化学物質が、金属や特定の宝石に損傷を与えることがあります。
ですから、洗顔やお風呂の時は、外したほうがよいでしょう。
傷だけでなく、指輪の細かい部分に石鹸カスが溜まり、くすんで見える原因となります。
また、手の指がふやけて、指輪が抜けやすくなります。そのまま、排水溝に流れてしまう危険性もあります。
摩耗
長期にわたって指輪を着用していれば、特にリングの内側が摩耗して、薄くなってきます。
これは自然な現象であり、避けようがありません。
傷がつきにくい結婚指輪は?
結婚指輪に傷がつくことは避けられませんが、なるべく傷がつきにくいようにするならば、購入前の指輪選びも重要となります。
素材
結婚指輪の素材としては、ゴールドやプラチナが定番ですが、純度によって傷の付きやすさが変わってきます。純度が高ければいいという問題ではありません。
詳しくは後述します。
幅・厚み
最近は、細くて薄い指輪が人気となっていますが、これは、おしゃれに見える、邪魔にならない、つけ心地が楽、などの理由があるようです。
しかし、細くて薄い指輪は、変形しやすいというデメリットがあります。
傷のつきにくさやメンテナンスのことを考えると、ある程度の幅と厚みがある方が望ましいです。あまりに細くて薄いものは、業者にもメンテナンスを断られる場合があります。
デザイン・製造方法
一般的に指輪には、鋳造法と鍛造法という2つの製造方法があります。
鋳造法は、型に金属を流しこんで作る方法です。VやSなどの曲線が入った指輪はこのタイプです。繊細なデザインの指輪ができますが、耐久性が低くなるというデメリットがあります。
鍛造法は、金属の棒を叩いて曲げて作る方法です。ストレートの指輪はこのタイプです。頑丈な指輪ができますが、細かな加工ができないというデメリットがあります。
傷のつきにくさを考えるならば、鍛造法で作られたストレートタイプを選ぶとよいでしょう。
石の有無・石の付け方
結婚指輪にも宝石を付けたい、特にダイヤモンドを付けたい、と望む方は多いようです。
しかし石を付けたら、取れてしまうリスクが出てきます。そしておそらく、気が付かないうちに取れてしまい、探すことは困難となるでしょう。最初から石がついていなければ、取れる心配もなくなります。
また石を付ける場合は、どのように留めるかも重要となってきます。
台座に爪で固定する、穴を開けて埋めるなど、様々な留め方があります。
耐久性のことを考えると、がっちり埋め込むのが良いのですが、それだと宝石が光らなくなります。
ダイヤモンドが輝くのは光が反射するからです。ですから、婚約指輪のように浮き上がらせて光を多く通す方が良いのですが、これだと邪魔になるし、傷もつきやすくなります。
石を付けるか付けないか、付けるとしたらどのように留めるかを、デザインと耐久性の両方から考えるようにしましょう。
仕上げ
指輪の表面の仕上げの方法として、大きく分けて「つや有り」と「つや消し」があります。
「つや有り」は鏡面仕上げとも言われ、金属らしいピカピカとした輝きが特徴です。
「つや消し」はあえて輝きを抑えた落ち着いた仕上がりで、日常使いとして人気があります。
つや消しの方法として、細かな凹凸を作る「マット」や、細かな線を入れる「ヘアライン」などがあります。つや有りとつや消しを組み合わせてデザインしたものもあります。
つや有りは、傷が目立ちやすいというデメリットがありますが、メンテナンスが容易というメリットがあります。
つや消しは、傷が目立ちにくいというメリットがありますが、メンテナンスはメーカーで再加工する必要があるというデメリットがあります。
どちらが良いかは一長一短のため、好みとコストを考えて決めるのがよいでしょう。
素材と傷のつきやすさ
指輪によく使われる金属と、耐久性について比較をします。
ゴールド(金)
「24金」とか「K18」という表現を見たことがあると思いますが、これは金の純度を表しています。伝統的に、100分率ではなく、24分率が使われており、以下のような意味です。
- K24:金100%
- K18:金75%
- K14:金58%
K24はいわゆる純金で、純度99.99%以上とされています。純金の方がいいように思えますが、金はとても柔らかいので、日常使用には向いていません。
指輪などの装飾品としてよく使われるのがK18です。残りの25%は、銅・パラジウム・ニッケルなどで、それにより色がつき、ピンクゴールド、ホワイトゴールドなどと呼ばれます。K24よりも硬くなっています。
K14はさらに硬くなりますが、宝飾品よりも、文房具や楽器などの用途が多くなってきます。
プラチナ
プラチナは耐久性が高く傷に強いとされています。
また、傷がついたとしても、それも風合いと感じられる特性があります。
純プラチナは柔らかいので、ジュエリーとしては純度95%のプラチナ950がよく使われます。
パラジウム
パラジウムは、プラチナによく似た金属ですが、プラチナより安価というメリットがあります。
プラチナ同様に、純度95%のパラジウム950がよく使われます。
シルバー(銀)
シルバーは「スターリングシルバー」という純度92.5%のものがよく使用されます。
柔らかくて傷が付きやすく、変色もしやすいので、定期的に磨く必要があります。
チタン
チタンはとても軽量で、傷にとても強いです。
アレルギー反応を起こしにくいというメリットもあります。
また合金にすることで、様々な特性が強化されるため、幅広い用途で利用されています。
タングステンカーバイド
タングステンカーバイドはとても硬く、ほとんど傷がつきません。
ただし無敵ではなく、衝撃には弱い場合があります。
ビッカース硬さ
「ビッカース硬さ(HV)」とは、押し込んだ時のへこみに対する硬さの尺度で、傷のつきにくさを示す指標として使われます。
合金に加えられる金属の種類や割合、製造方法によっても変わってきますが、だいたい以下の表のようになります。
素材 | ビッカース硬さ |
---|---|
タングステンカーバイド | 1,200~18,00 |
チタン合金 | 330~350 |
K14ゴールド | 140~200 |
パラジウム950 | 135~150 |
プラチナ950 | 130~150 |
K18ゴールド | 120~160 |
チタン | 120~150 |
スターリングシルバー | 60~80 |
パラジウム | 40~50 |
プラチナ | 40~50 |
K24ゴールド | 20~90 |
シルバー | 20~30 |
指輪の素材としてよく使用されているのは、硬さと美しさを兼ね備えた、K18ゴールドとプラチナ950です。
より耐久性を求めるならば、タングステンカーバイド、チタン合金、K14ゴールドなども検討すると良いでしょう。
ボロボロになった結婚指輪を直すには?
結婚指輪の傷を直す方法として、自分で行なう方法と、プロの依頼する方法をご紹介します。
自分でメンテナンスする
指輪のメンテナンスは、汚れを落としたり、小さな傷を磨いたりするだけであれば、自分でもある程度できます。
自宅でできる簡単な方法をご紹介します。
柔らかい布で拭く
一番簡単にできることは、柔らかい布で拭くことです。少しの汚れやくすみであれば、すぐに落ちるでしょう。
指輪には皮脂、化粧品、石鹸、ホコリなどの汚れが溜まっていきます。こまめに拭き取ることで、きれいな状態を維持することができます。
強い力を入れすぎないように注意しましょう。
中性洗剤で浸け置きする
毎日拭いていたとしても、凹凸に汚れが溜まり、落としにくくなってきます。そういう時は、中性洗剤に浸け置きするのがおすすめです。
カップにぬるま湯を入れ、中性洗剤を数滴垂らします。その中に指輪を数分間沈めます。取り出したら、布や柔らかいブラシで磨きましょう。その後、水で洗い流して、水分を拭いて乾燥させます。
中性洗剤はほとんどの宝石に対して使用できますが、水や熱に弱い石もありますので、ダイヤモンド以外の石が使用されている場合は、購入店に相談することをおすすめします。
研磨剤で磨く
小さな傷であれば、自分で磨き直すことで、目立たなくすることもできます。
クロスに研磨剤をつけて、強くこすります。クロスが黒く汚れますが、これは表面が削れている証拠です。上手くいけばピカピカの状態に戻ります。
ただしこの方法は、つや消し加工やメッキ加工がされた指輪には使用できません。また、金属や石の種類にもよりますので、事前に購入店に相談しておきましょう。
超音波洗浄機を使う
超音波洗浄機とは、超音波による振動で汚れを落とす機械です。メガネ屋さんなどによく置いてあります。
家庭用のものは数千円から購入できるので、一台持っていると、とても便利です。指輪だけでなく、ネックレスや、メガネ、時計のバンドなどにも使用できます。
注意が必要なのは、石が入っている指輪には使えないということです。振動で破損する可能性があります。地金のみの指輪に使用してください。また、汚れが落ちるだけで、傷が修復されるということはありません。
傷が目立つようになったら、店舗に依頼するようにしましょう。
ジュエリーショップに依頼する
指輪に大きな傷がついてしまったり、変形してしまったりした場合は、自分では直せないので、ジュエリーショップに依頼しましょう。
基本的には、購入したお店にアフターサービスという形で依頼しますが、メンテナンス専門で行っている業者もあります。
業者で行ってくれる内容としては、以下のようなものがあります。
- サイズ直し
- 歪み直し
- 石留め
- 洗浄
- 磨き直し
- 再つや消し加工
- 再メッキ加工
- コーティング加工
料金は依頼する内容によって変わってきますが、大掛かりな加工が入らなければ、数千円の範囲に収まることが多いです。
結婚指輪は長く使うものなので、定期的にメンテナンスを依頼することをおすすめします。
まとめ 結婚指輪がボロボロになるのを予防する方法と直し方
記事の内容をまとめます。
- 結婚指輪をつけっぱなしにする人は約5割
- 結婚指輪に傷がつくことを避けるならば、家事をする時、スポーツをする時、洗顔や入浴をする時、などは外した方が良い
- 結婚指輪は素材、幅、厚み、製造方法、石の有無、仕上げによって、傷のつきやすさやメンテナンスの容易さが変わる
- なるべく傷がつきにくくするには、次のようにするとよい
- タングステンカーバイド、チタン合金、K14ゴールドなどの硬い素材にする
- ある程度の幅と厚みがあるものにする
- 鍛造法で作られたストレートリングにする
- 石は付けない
- つや有りとつや消しはメンテナンスコストを含めて考える
- 日常的には自分でメンテナンスし、傷が目立つようになったらジュエリーショップに依頼するとよい
- ジュエリーショップにメンテナンスを依頼した場合、簡単な内容であれば数千円の範囲で収まる