一般的に電車は、飛行機と異なり荷物検査もないので、スーツケースのような大きな荷物を持ち込んでいいのか心配になるかもしれません。この記事では、電車に持ち込める荷物のルールと、スーツケースのサイズについて解説します。また、一部の新幹線では事前予約が必要となるので、それについても解説します。合わせて、電車内でのスーツケースのマナーについてもご紹介しています。
ポイント
- 電車に持ち込める手回り品のルール
- 新幹線に持ち込める特大荷物のルール
- 電車内でスーツケースを置く場所や固定する方法
スーツケースを電車に持ち込む際のルール
電車と新幹線で、それぞれ大きな荷物を持ち込む際のルールについてご説明します。
電車に大きい荷物を持ち込む場合
電車に持ち込める荷物のルールはとても分かりにくく、鉄道会社の公式サイトを見ても、ページによって内容が矛盾しているところがあります。
少なくとも、JRグループではルールが統一されています。私鉄に関しても、全てを調べたわけではありませんが、概ね同じになっているようです。
まとめるとだいたい以下のようになりますが、間違っている可能性もあるので、詳細は各鉄道会社にご確認ください。
持ち込めるサイズと個数
3辺の合計が250cm以内、かつ1辺が200cm以内、かつ重さ30Kg以内のものを、2個まで持ち込むことができます。
3辺の合計が250cm以上のものは、持ち込むことができません。追加料金を支払えば可能になるということもありません。
個数を無視できる
傘・杖・ハンドバッグなどの身の回り品は、2個までの制限を無視することができます。(ただしサイズの制限は受ける)
サイズを無視できる
以下のものは、携帯したり、立てかけたりすることができれば、長さの制限を無視することができます。(ただし個数の制限は受ける)
- 折りたたんで専用袋に入れた自転車
- 専用袋に入れたサーフボード
- 楽器
- スポーツ用品
- 娯楽用品
- 車椅子(ただし長さ・高さが120cm以内、幅が70cm以内に限る)
個数・サイズを無視できる
以下のものは、サイズや個数の制限を受けません。(荷物扱いではない、ということかもしれません)
- ベビーカー(畳む必要なし。使用エリアの制限はある)
- 盲導犬・介助犬・聴導犬(法で定められた範囲)
サイズの範囲内であっても、追加料金が必要となる
ペット(子犬、猫、鳩などの小動物)は、専用ケースに入れ、追加料金(JRの場合290円)を支払う必要があります。
- 3辺の合計が120cm以内、かつケースと動物を合わせて10kg以内
サイズの範囲内であっても、持ち込むことができない
以下のものは、電車内に持ち込むことができません。
- 専用ケースに入れていない動物
- 猛獣やへび等
- 危険物
- 不衛生なもの
- その他、車両や他の乗客に危害を及ぼすもの
結局、スーツケースは?
スーツケースは、3辺の合計が250cm以内で、重さが30kg未満のものを2個まで持ち込めます。
3辺の合計が250cm以上のスーツケースは超特大サイズなので、一般的なスーツケースであればほぼ大丈夫ということになります。
こちらは、スーツケースの一般的なサイズの表です。
サイズ | 3辺の合計(cm) | 高さ(cm) | 容量(L) | 宿泊日数(日) |
---|---|---|---|---|
小 | 115 | 55 | 35 | 3 |
中 | 158 | 70 | 60 | 7 |
大 | 203 | 80 | 90 | 14 |
特大 | 203~ | 80~ | 90~ | 14~ |
参考
- JR北海道 手回り品
- JR東日本 旅客営業規則
- JR東日本 手回り品
- JR東日本 自転車等の大きな荷物を持って、列車に乗ることはできますか。
- JR東日本 ベビーカーの安全なご利用のために
- JR東日本 車いすをご利用のお客さまへ
- JR東海 手回り品
- JR西日本 持ち込める荷物
- JR四国 手回り品
- JR九州 手回り品
- 阪急電鉄 手回り品のご案内
- 南海電鉄 手回り品
新幹線に大きい荷物を持ち込む場合
新幹線は、区間によって荷物を持ち込む際のルールが異なります。
会社 | 区間 | ルール |
---|---|---|
JR北海道 | 北海道新幹線 | 電車のルールと同じ |
JR東日本 | 東北新幹線 | |
秋田新幹線 | ||
山形新幹線 | ||
上越新幹線 | ||
北陸新幹線 | ||
JR西日本 | 北陸新幹線 | |
JR東海 | 東海道新幹線 | 電車のルールに加え、 3辺の合計が160cm以上の荷物は要予約 |
JR西日本 | 山陽新幹線 | |
JR九州 | 九州新幹線 | |
西九州新幹線 |
「東海道」「山陽」「九州」「西九州」新幹線に、3辺の合計が160cm以上の「特大荷物」を持ち込む際は、専用座席の予約が必要となります。
- ~160cm:予約なしで持ち込みできる
- 160~250cm:事前予約が必要
- 250cm~:持ち込みできない
予約をするには、ネット予約や券売機で「特大荷物スペースつき座席」または「特大荷物コーナーつき座席」を選ぶ必要があります。
- 特大荷物スペースつき座席:指定車両の最後部にある荷物置き場
- 特大荷物コーナーつき座席:指定デッキにある荷物置き場
追加料金は発生しません。逆に、予約せずに持ち込んだ場合は、手数料1,000円が請求されます。
ただし上記に書いた「サイズを無視できる」「個数・サイズを無視できる」に該当するものは、160cmを越しても、予約なしで持ち込むことができます。
- 折りたたんで専用袋に入れた自転車
- 専用袋に入れたサーフボード
- 楽器
- スポーツ用品
- 娯楽用品
- 車椅子(ただし長さ・高さが120cm以内、幅が70cm以内に限る)
- ベビーカー(畳む必要なし。使用エリアの制限はある)
- 盲導犬・介助犬・聴導犬(法で定められた範囲)
結局、スーツケースは?
多くの国際線の航空会社が、無料で預け入れ可能なサイズを3辺の合計が158cm以下と規定しています。それに合わせた中サイズのスーツケースであれば、事前予約なしで持ち込んでいいということになります。
国内線は203cm以下となっていることが多いので、それに合わせた大サイズのスーツケースだと、事前予約が必要となります。
250cmを超える大型サイズのスーツケースは、持ち込むことができません。予約や追加料金を支払えば可能になるということもありません。
参考
スーツケースを電車に持ち込む際のマナー
電車内でスーツケースに座ってもいいか、転がらないように固定するにはどうしたらいいか、どこに置けばいいかについて解説します。
電車内でスーツケースに座るのはあり?
電車の中で立っているのは疲れるので、スーツケースの上に座りたいと思うことがあるかもしれません。しかし止めておいた方が無難ではあります。
確かに一部のスーツケースは、座ることを前提としたデザインとなっています。そういう機能がある以上、座って何が悪いと思われるかも知れませんが、少なくとも、電車の中では止めておきましょう。
危険だから
電車は、急ブレーキや急カーブ等によって、大きく揺れることがあります。例えスーツケースのキャスターをロックしていたとしても、その上に座っていては、バランスを崩して転んでしまうでしょう。
自分だけでなく、周りの人を巻き込んで、怪我をしてしまうかもしれません。
邪魔だから
一般的に、座席以外のスペースで座り込むと、面積を大きく使うので邪魔になります。
空いていればいいのかという話もありますが、上記の通り危険なので、やはり止めましょう。
乗客同士のトラブルを招くから
鉄道会社は、スーツケースの上に座ってはいけないというルールは定めていませんが、ルールになければ何をやってもいいということではありません。
特に電車内には多くの人がいて、それぞれが違った考えを持っています。その中で自分の主張を強く出しすぎると、反感を買って、思わぬトラブルを招く可能性があります。
乗客同士のトラブルを避けるためにも、スーツケースの上には座らないようにしましょう。
スーツケースが転がらないように固定するには?
スーツケースを電車内に持ち込んだ時に困るのは、コロコロ転がっていってしまうこということです。転がらないようにするための方法をいくつかご紹介します。
キャスターストッパー付きのスーツケースを使う
一番良いのは、ボタン一つでキャスターがロックされて、転がらないようになる機能がついているスーツケースを使用することです。
とは言え、100%転がらないということはないので、注意しておくことは必要です。
しっかり持つ
ストッパー機能がついていない場合は、スーツケースをなるべく体に寄せて、しっかり手で抑えておきましょう。
倒して置く
要はキャスターがあるために転がっていくので、キャスター以外の面を下にして置けば、転がらなくなります。
ただし、邪魔にならないようなスペースがある場合に限られます。
キャリーバーの面を下にするという方法もありますが、そこまでするのであれば、下記のストッパーを購入した方が良いです。
キャスターストッパーを使用する
キャスターにはめたり、下に敷いたりしることで、転がらなくするグッズがいろいろ販売されています。100円均一でも購入できますので、用意しておくとよいでしょう。
ただし、着脱が面倒な上に、スーツケースの外に出して持ち歩かなければいけないという欠点があります。
できれば最初から、キャスターストッパー機能がついているスーツケースを購入した方がよいでしょう。
ベルト・ストラップで固定する
その他、ベルトやストラップでどこかにつなぐという方法もありますが、場所が限られる上に、安定しない可能性もあるので、おすすめはしません。
電車内でスーツケースを置く場所は?
スーツケースを電車内でどこに置くかは、なかなか難しい問題です。基本的に、決まった場所はありません。邪魔になることは間違いないので、車内の状況を見て、適切に判断することが重要です。
避けたほうがいい場所
まず、スーツケースを置かない方がいい場所についてご説明します。
網棚
スーツケースは重いので、高い位置にある網棚まで持ち上げるのは、男性でも大変です。
安定せずに落ちる可能性もあり、危険なので、避けた方がいいでしょう。
新幹線にあるような、スーツケースを載せることを想定した、頑丈な荷物棚であれば大丈夫です。
座席の前
座席に座った場合、自分の足の前に置くことは、邪魔になる可能性が高いです。
特に、向かい合わせのボックス席の場合、足の前に置くと、他の人が座れなくなってしまいます。
また足の間に挟むのは、横に邪魔になりますし、行儀が悪いと感じる人もいるので、避けたほうがよいでしょう。
新幹線であれば、小型のものは足元に置けるでしょう。
出入り口
スーツケースは大きいので、入り口を塞ぐように置くのは、乗り降りの邪魔となります。
かと言って奥の方に行くのも、移動時に邪魔になるのが難しいところです。
スーツケースを置く場所
どうやってもスーツケースが邪魔になることは間違いないのですが、ここであればまだマシという場所をご紹介します。
座席の横
「出入り口には置かないほうがいい」という話と矛盾しますが、座るのであれば端の席にし、スーツケースは前ではなく横に置くようにしましょう。
その際に、転がっていかないように、手で抑えておくことが必要です。特にドアが開いた時に外に出ていってしまっては大変です。
車椅子スペース
車両によっては、車椅子スペースが用意されていることがあります。
もちろん車椅子の方がいれば、そちらが優先となりますが、いないようであればスーツケースを持ち込むのに適した場所となります。
隅のスペースがあるところ
車椅子スペースがないようであれば、なるべく奥の方の邪魔にならないところに移動しましょう。
ただしすぐに降りる場合や、車内が混雑していて移動が難しい場合は、入り口付近で待機しましょう。乗り降りの邪魔にはならないように注意は必要です。
スーツケースを電車に持ち込む際のルールとマナーのまとめ
記事の内容をまとめます。
- 電車内にスーツケースは、3辺の合計が250cm以内で、重さが30kg未満のものを2個まで持ち込める
- 「北海道新幹線」「東北新幹線」「秋田新幹線」「山形新幹線」「上越新幹線」「北陸新幹線」は上記と同じ
- 「東北新幹線」「山陽新幹線」「九州新幹線」「西九州新幹線」は、3辺の合計が160cm以上のものは、特別席の予約が必要
- 電車も新幹線も、3辺の合計が250cm以上のスーツケースは、持ち込むことができない
- 電車内でスーツケースの上には座らないようにする
- 電車内でスーツケースが転がらないように、キャスターストッパーを利用する
- 電車内でスーツケースは、「座席の横」「車椅子スペース」「奥のスペース」など、なるべく邪魔にならないところに置く