日本三大ドヤ街とは

日本三大ドヤ街は、東京台東区の「山谷」、大坂西成区の「あいりん地区（釜ヶ崎）」、横浜中区の「寿町」と言われています。

ここでは、それぞれの概要について、簡単にご説明します。

日本三大ドヤ街の概要

ドヤ街の意味

「ドヤ街（ドヤがい）」とは、日雇い労働者が多く集まる街のことです。日雇い労働者向けの簡易宿所が多数あることから、「宿街（ヤドがい）」と呼ばれましたが、いつの頃からか逆さにした「ドヤ街」という呼び方が定着しました。一説によると、「宿」とは呼べないような粗末な建物だったために、自虐的に「ドヤ」と呼ぶようになったということです。

日本のドヤ街は、海外のスラム街と異なり、治安が比較的安定していることが特徴です。普通の住宅街の一部に、日雇い仕事を斡旋する「寄せ場」があり、日雇い労働者が多く集まっている、というだけです。

高度経済成長期には多くの日雇い労働者がいましたが、近年は減少・高齢化しており、それに伴いドヤ街も縮小化しています。逆にその昭和感のあるレトロな雰囲気が希少ということで、観光地化している面もあります。値段の安い飲食店や宿泊施設が多いため、海外からのバックパッカーにも人気となっています。

ドヤ街・スラム街の一覧

かつて日本に存在した、ドヤ街・スラム街・歓楽街などの、比較的治安が悪いとされていた地域の一覧です。多くはすでに消滅しています。

日本三大ドヤ街　山谷

「山谷（さんや）」とは、東京都台東区の東側にあるエリアで、日本三大ドヤ街の一つとされています。ドヤ街としての山谷は縮小していますが、今でも、一泊2,000円程度の安宿が営業を続けています。

山谷の場所

現在の住所では山谷という地名はなく、「清川」「日本堤」「東浅草」あたりとなっています。南千住駅の南側、東京都道464号（吉野通り）の泪橋交差点から、東浅草二丁目交差点の間あたりを指します。泪橋は、漫画『あしたのジョー』の舞台でもあります。かつて泪橋の北側には「小塚原刑場」、南西側には「吉原遊郭」があり、江戸の境界といった場所でした。

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山谷は、江戸時代から交通の便がよいことで知られており、多くの宿が集まっていました。現在でも、上野・浅草・秋葉原・銀座・六本木など、観光客に人気の場所へアクセスがよい場所です。そのため、海外からのバックパッカーに人気の場所となっていましたが、新型コロナウイルスの影響もあり、近年は減少しています。

山谷の歴史

山谷の治安

実際の山谷は、特に治安が悪いということはありません。少し雰囲気が異なるという程度です。

山谷としてのデータはありませんが、台東区として見ると、2022年（令和4年）の人口比で、東京23区内では5番目の治安の悪さとなっています。

また、犯罪種別で見ると、凶悪犯罪の割合順では9位となります。台東区は非侵入窃盗の割合が高く、自転車盗難・万引き・置き引きなどが多くなっています。

東京都の人口（推計） - 2022年（東京都総務局統計部）

区市町村の町丁別、罪種別及び手口別認知件数 - 2022年（警視庁）

日本三大ドヤ街　あいりん地区（釜ヶ崎）

「あいりん地区（あいりんちく）」とは、大阪府大阪市西成区（にしなりく）の北東部に位置するドヤ街のことです。日本三大ドヤ街の一つとされています。

高度経済成長期に、全国各地でドヤ街が誕生しましたが、西日本では次第にあいりん地区に集約していきました。以降、頻繁に暴動が発生していましたが、2012年に始まった「西成特区構想（当時の橋下徹市長の言葉では、えこひいき政策）」により、治安や衛生など、様々な問題が解消に向かっています。

あいりん地区の場所

新今宮駅の南側、「萩之茶屋」「太子」あたりが該当します。

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旧地名の「釜ヶ崎（かまがさき）」とほぼ同地域を指します。「あいりん地区」という言葉は、地元ではあまり使われていません。

あいりん地区の治安

あいりん地区は、かつては暴動が多発する危険なエリアでしたが、近年はそれほどではありません。2022年（令和4年）の人口あたりの犯罪発生数を比較すると、大阪市の中で、西成区は4位の治安の悪さとなっています。

犯罪種別で見ると、凶悪犯・粗暴犯、つまり強盗・放火・暴行・傷害の割合が高く、そういう意味ではやはり危険度が高いと言えます。

大阪市の推計人口 - 2022年（大阪市）

刑法犯罪種及び手口別発生市区町村別認知件数 - 2022年（大阪府警察）

あいりん地区で観光？

あいりん地区は「日本最大のスラム街に行ってみた！！」などのタイトルで、ネタ（撮れ高）を求めたYouTuberやTikTokerが頻繁に訪れています。しかし、ドヤ街の雰囲気も薄れており、面白いことは何も起きません。

せいぜい訪れることができるのは「萩之茶屋南公園（三角公園） 」と「スーパー玉出」くらいです。

また、あいりん地区が目的ではなく、大阪観光をするのに安い宿を求めたバックパッカーも集まってきています。それに合わせ、バックパッカー向けのホテルも増えてきています。

日本三大ドヤ街　寿町

「寿町（ことぶきちょう）」は、神奈川県横浜市中区にある地域です。ドヤ街として知られており、日本三大ドヤ街の一つにあげられています。

寿町の場所

東京の「山谷」、大坂の「あいりん地区」は通称ですが、「寿町」は実際にある町名です。寿町1丁目から4丁目が該当します。関内駅と石川町駅の間あたりです。

近くには横浜スタジアム、横浜中華街があり、多くの人が集まる場所ですが、この一帯に入ると街の雰囲気が変わります。そんなに広くない範囲に、100軒以上の簡易宿泊所が立ち並んでいます。

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近年は、日雇い労働者も高齢化し、簡易宿泊所も空室が目立つようになっています。そこで、日雇い労働者向けのドヤ街から、バックパッカー向けの格安宿泊施設へと転換するプロジェクトが始まっています。

寿町の歴史

寿町の治安

横浜市の2022年（令和4年）の犯罪件数を人口比でみると、寿町がある中区は2位と、高めになっています。寿町だけでなく、中華街などの繁華街も含まれるため単純な比較はできませんが、それでも、東京の山谷がある台東区や、大坂のあいりん地区がある西成区に比べると、低くなっています。

中区は、凶悪犯や粗暴犯の割合が高いため、横浜市の中では危険度が高めのエリアといえます。

推計人口・世帯数 - 2022年（横浜市）

刑法犯 罪名別市区町村別 認知件数（神奈川県警察）

まとめ　日本三大ドヤ街について

日本三大ドヤ街とは、東京都台東区にある山谷、大阪府大阪市西成区にあるあいりん地区、神奈川県横浜市中区にある、寿町のことです。いずれも、高度経済成長期を支えた日雇い労働者向けに、仕事を斡旋する「寄せ場」と簡易宿所が集まることで、「ドヤ街」として発展しました。

近年は日雇い労働者も高齢化し、縮小化しています。そのため、社会的弱者を支援する施設・団体が集まる場所、海外からのバックパッカー向けに安宿を提供する場所へと変容してきています。

以上、お役に立ちましたら幸いです。