「ねぇねぇ、お茶しばかない?」と初めて言われたら、びっくりしてしまうことでしょう。「お茶を飲みに行こう」という意味のスラングですが、この記事では、この言葉がどのように誕生し、どのように広まったのかと、類似の流行語について詳しく解説しています。
「お茶をしばく」とは
お茶をしばくという言葉の意味、由来、地域などについて、詳しく解説します。
「お茶しばく」の意味は?
「お茶をしばく」とは、「お茶を飲みに行く」 という意味の砕けた表現です。
「お茶」とは「グリーンティー」ではなく、「カフェ」や「喫茶店」のことです。
さらに言えば「遊びに行く」「時間を潰す」という意味にもなります。
主に関西圏で使われていますが、方言というよりも、若者言葉の方が近いでしょう。
しばくとは
「しばく」とは、叩く・打つなどを意味する言葉ですが、関西圏ではツッコミを入れる程度の軽い意味で使われることがあります。
それが「行く」という意味でも使われるようになりました。
さらに拡大解釈して「する」という意味全般で使うこともできます。
使用例
真偽は不明ですが、「お茶をしばく」はナンパが原点にあるようです。
「ねぇちゃん、茶ぁしばかへん(しばけへん)?」
は、「お茶を飲みに行きませんか」 → 「一緒に遊びましょう」という誘い文句です。
その用法が広まって、友達同士でも、
「とりあえず、お茶しばこか」
と使われることがあります。
また、自分が何をやっているのかを伝えるのに
「今、お茶しばいとるわ」
などと言うこともあります。
また、お茶以外にも
「マックしばく」
「ネズミしばいた」(ディズニーランド)
など「食べる」「行く」「する」に相当する言葉と置き換えることができます。
「しばく」を英語で言うと?
英語にも「eat」や「drink」をカジュアルに表現したスラングはいくつかありますが、「しばく」に一番近いニュアンスは、「grab(つかむ)」ではないかと思われます。
「お茶飲まない?」は、以下のようになります。
「Why don't we grab a tea?」
「お茶をしばく」は京都が由来?
「お茶をしばく」という言葉は、大阪というイメージが強いですが、京都が由来という説も多くあります。
関西であることは間違いがないので、大阪か京都のどちらかということになるでしょう。
しかし、はっきりとしたことは分かっていません。
「お茶をしばく」が使われている地域は?
「お茶をしばく」という言葉は、主に関西圏で使われていますが、吉本芸人などのメディアの影響もあり、聞いたことがある・意味は知っているという人は、全国に広まっています。
しかし実際に使われることは少ないようです。
これは地域というより、年齢的な問題かもしれません。
「お茶をしばく」はいつから使われている?
「お茶をしばく」がいつから使われているかははっきりしませんが、1980年代後半から1990年代にかけての、バブル期に誕生したという説が有力です。
1988年に、ダウンタウンが出演するTV番組『夢で逢えたら』が人気となり、関西芸人が東京へ進出してきた時期と一致しますので、全国的に広まったのもこの頃と思われます。
「お茶をしばく」は死語?
「お茶をしばく」という言葉を生み出したのが、1980年代に京都や大阪の繁華街でナンパをしていた人たちと考えると、現在は50代になっています。
実際に大阪でも、年配の人しか使っていないという声も多いです。
しかしTwitter等で検索するとまだまだ投稿が見つかりますので、死語とまでは至っていないようです。
「お茶をしばく」の類語
お茶をしばくに近い流行語として「キメる」「優勝する」「タピる」をご紹介します。
キメる
「キメる」とは、違法薬物等を服用して高揚感を得ることを意味するスラングですが、それをまったく健全な飲食物に使用することで、冗談っぽく言うことがあります。
「朝からプロテインキメた」
余談ですが、初期の茶道では、カフェイン耐性がなく、本当にキマっていたという説があります。
千利休も、お茶をキメていたのかもしれません。
優勝する
大量の肉や、アルコールなど、背徳感のある物を好きなだけ食べて幸せな状態になることを「優勝する」と表現することがあります。
これは、人気漫画『ナルト』に登場する大蛇丸の声真似をしながら料理をする、「とっくん」の動画によって広まったようです。
「ということで今回は、ステーキで優勝していくことにするわ」
初投稿が2019年なので、それ以後に広まったと考えられますが、最近は若干下火になっています。
タピる
2018~2020年頃に、「タピオカミルクティー」が流行すると、合わせて「タピる」という言葉も広まりました。
広義には「タピオカミルクティーを飲むことを」を指しますが、狭義には「タピオカ入りの何かを食べること」を指します。
タピオカブームの終焉とともに死語になっていますが、そもそもタピオカが10年周期ほどで流行を繰り返しているので、「タピる」も復活するかもしれません。