普段からコンタクトレンズを使用している方も多いと思いますが、つけたまま温泉に入ってもいいのでしょうか。実際、多くの人がコンタクトをつけたまま温泉に入っていますが、リスクがあるのも事実です。この記事では、コンタクトをつけて温泉やサウナに入ることのリスク、推奨される方法、コンタクトをつけて温泉に入ってしまった場合の対策について、詳しく解説しています。
ポイント
- コンタクトをつけて温泉やサウナに入るリスク
- お風呂用メガネとは
- コンタクトレンズと目の感染症の関係
- それでもコンタクトをつけて温泉に入る場合
コンタクトレンズをつけて温泉に入ってはいけない理由
コンタクトレンズをつけたまま温泉に入りたいという方は多いと思います。一般的に、コンタクトレンズをつけて温泉に入ることは、禁止ではありませんが、推奨はされていません。ここでは、コンタクトをつけて温泉やサウナに入ってはいけない理由、メガネも駄目な理由、アカントアメーバ角膜炎と失明のリスクについて説明します。
コンタクトをつけたまま温泉に入っていいの?
コンタクトレンズをつけたまま温泉に入ることは推奨されていません。
レンズに影響がある
コンタクトレンズをつけたまま温泉に入ると、熱によりレンズが変形する可能性があります。これにより、装着感や、視力が変わってしまいます。
また、温泉に含まれるミネラル等の成分が付着する可能性があります。
目に影響がある
水回りには、雑菌や微生物が多く生息しています。コンタクトレンズに付着したこれらの微生物が繁殖し、眼の感染症の原因となることがあります。最悪の場合、失明のリスクがあります。
また、石鹸やシャンプーが目に入った際、裸眼であればすぐに洗い流すことができますが、コンタクトレンズをつけていると、成分が残ってしまい、目を傷つけてしまうかもしれません。
さらに、入浴中は目が乾燥しやすいので、コンタクトレンズが貼り付いてしまうことがあります。無理に剥がそうとすると、目を傷つけることになります。
レンズを紛失する
レンズをつけたまま、シャワーを浴びたり、顔を洗ったりしていると、うっかり外れて、流されててしまうかもしれません。もし温泉でコンタクトレンズを落としてしまったら、見つけることはほぼ不可能でしょう。
コンタクトレンズの種類によっては、とても高価なものですので、大きな損害となります。
サウナでコンタクトをつけてもいいの?
温泉でコンタクトレンズをつけることは、推奨されていませんが、サウナはどうでしょうか。
サウナの場合も温泉と同じで、つけたまま入ることは推奨されていません。
理由はほぼ同じですが、温泉よりもさらに高温になりますので、変形するリスクが高まります。特にソフトレンズは、影響を受けやすいとされています。
また、乾燥によって、ぴっちり貼り付いてしまうリスクもあります。
温泉ってメガネも駄目なの?
温泉やサウナでコンタクトレンズの着用が推奨されていないのであれば、メガネはどうでしょうか。
実は、メガネの着用も推奨されていません。その理由は、以下の通りです。
メガネが曇る
コンタクトレンズのメリットの一つは、曇らないということです。
せっかく視力を確保するためにメガネをかけたのに、曇って見えないのでは、意味がありません。
コーティングが剥がれる
メガネのレンズには、様々なコーティング処理がされていますが、温泉に入ると剥がれてしまう可能性があります。
これは、素材ごとの熱膨張率の違いにより、歪みが生じるためです。
金属パーツが錆びる
フレームやネジで使用されている金属にとってもよい影響はありません。
水がつくことによって、錆びる要因となります。
また、石鹸やシャンプーなども、金属を劣化させることになります。
さらに温泉の場合、硫黄などの成分が、金属と反応して変質させてしまう可能性があります。
フレームが変形する
温泉だけでなく、サウナやドライヤーによる高熱も問題となります。
プラスチック製のフレームは、熱により変形してしまう可能性があります。
また、金属製のフレームの場合、火傷するリスクもあります。
コンタクトレンズよりは安全?
このように、温泉でメガネを使用することは、メガネが壊れたり、最悪の場合、火傷をしてしまうことがあるので、推奨されません。
しかしコンタクトレンズの場合は、最悪の場合、失明ということになりますので、それに比べれば安全と言えるかもしれません。
お風呂用メガネを推奨
メガネもコンタクトレンズも推奨されないのであれば、どうすればいいのでしょうか。
視力を確保したいのであれば、お風呂用メガネを使用することをおすすめします。
お風呂用メガネには、以下のような特徴があります。
- 金属を使用していない
- 耐熱性がある
- 弾性のあるフレーム
- 曇り防止コーティングのされたレンズ
数千円から購入できますので、一つ持っていてもいいのではないでしょうか。
コンタクトをつけてお風呂に入ると失明するって本当?
コンタクトレンズをつけたままお風呂に入ることによって、失明することがあるというのは、大げさではなく、実際に発生していることです。
その多くは、アカントアメーバ感染症によるものです。
以下の記事は、2019年にイギリスで起きた事例です。
29歳のこの男性は、毎朝オフィスに行く前にジムに行き、コンタクトレンズを着用したままシャワーを浴びていました。ある日、右目に違和感があることに気がついたため、眼科に行ったところ、アカントアメーバ角膜炎と診断されました。薬による治療を開始しましたが、回復することなく、右目が完全に失明してしまったということです。
Man blinded by parasite living in his eye after he showered with contact lenses in
アカントアメーバ角膜炎とは?
アカントアメーバ(Acanthamoeba)とは、微小なアメーバ状の原生生物で、土の中や、淡水の湖沼、水道水などに幅広く生息しています。つまり、どこにでもいます。
このアカントアメーバが、目の角膜についた小さな傷から侵入すると、アカントアメーバ角膜炎という感染症を引き起こします。
初期症状としては、目の痛み、涙の増加、視力低下などがあります。進行すると治療が難しくなり、最悪の場合、失明にいたります。
アカントアメーバ角膜炎は、多くの場合、ソフトコンタクトレンズを適切に使用していないことにより起こります。例えば、レンズやケースを洗浄しない、専用の保存液ではなく水道水を使用する、水場でレンズを装用する、などです。
裸眼の場合は、涙や免疫系の機能によって保護されているので、このような微生物による感染症が起きることは稀です。
しかしコンタクトレンズの場合は、角膜に小さな傷がついたり、涙が流れにくくなったり、長時間着用することによって微生物が固定・繁殖してしまったりすることによって、感染症のリスクが高まるとされています。
普段からレンズを清潔に保つことと、少しでも違和感があればすぐに医師に相談することが重要です。
コンタクトレンズをつけたまま温泉に入るなら
リスクがあるのは分かるが、見えないほうが危険だし、やっぱりコンタクトをつけたいという方もいると思います。その場合は、せめてワンデーにしましょう。2weekであっても交換することが推奨されます。また、意図せずしてコンタクトをつけたままお風呂に入ってしまった場合の対応についても解説します。
見えないと不便!温泉でもコンタクトをつけたい理由
温泉でコンタクトレンズをつけることが推奨されないのは分かるけれど、それでもつけたいという気持ちはありますよね。その理由を整理してみましょう。
見えないと危ないから
まず単純に、視力が低下することで、危ないということがあります。
特に、自宅ならばともかく、慣れない旅行先の場合は、広いし、他の人もいるしで、危険です。
視力を確保することは、自分や他人の身を守ることになります。安全確保のためです。
また、公衆浴場には注意書きが書かれていることが多いので、それが読めないと困るという理由もあるでしょう。
景色を楽しみたいから
旅行で温泉に行った場合は、外の風景も合わせて楽しみたいものです。見えないのであれば、楽しみが半減しています。
また、リゾートスパの場合、内装が面白い場合もあるでしょう。
目の保養という言葉もありますし、見えるということは、とても重要な要素となります。
メガネを持っていないから
コンタクトレンズを常用している人は、サブでメガネを持っていることが多いですが、旅行には持ってきていなかったかもしれません。
またそのメガネが、金属フレーム等の理由で、温泉には適していなかったかもしれません。
本当はメガネの方がいいのは分かるが、やむを得ずコンタクトレンズを使用する、ということもあるでしょう。
コンタクトをつけて温泉に入るならワンデーにしよう
温泉でコンタクトレンズを使用することは推奨されていませんが、それでもつけたいという場合は、ワンデーの使い捨てタイプのものが良いでしょう。
温泉でコンタクトレンズが問題になる場合の多くは、雑菌が繁殖するためです。
使い捨てタイプのものであれば、このリスクを減らすことができます。
2weekのコンタクトで温泉に入っても大丈夫?
同じ使い捨てタイプのコンタクトレンズでも、ワンデーではなく、2weekを常用している方も多いでしょう。
この場合は、入浴時に使用したものは破棄して、交換するようにしましょう。洗浄ケアして着用を続けることは、感染症のリスクを高めることになるので、推奨されません。
または、普段使いは2weekでも、温泉の時だけワンデーを使用する、という併用もよいでしょう。
ただし一番良いのは、裸眼か、お風呂用メガネを使用することです。
コンタクトをつけてお風呂に入ってしまったらどうする?
コンタクトレンズをしたまま、お風呂に入ってしまった場合は、どうしたらいいでしょうか。
まず、使い捨てタイプのものであれば、交換するようにしましょう。
長期使用タイプのものであれば、専用液で、しっかりと洗浄・保管するようにします。もちろん、水道水をしようしてはいけません。アカントアメーバは水道水内にも生息しています。レンズに傷がついていないかも確認しましょう。
もし違和感を感じたら、すぐに医師に相談しましょう。感染症の場合、遅くなればなるほど、治療が困難になります。
まとめ 温泉でコンタクトレンズをつけてもいいの?
記事の内容をまとめます。
- コンタクトレンズをつけたまま温泉に入ることは推奨されない
- コンタクトレンズをつけたまま温泉に入ると、レンズに影響がある、目の健康に影響がある、レンズを紛失する、などの問題がある
- コンタクトレンズをつけたままサウナに入ることも推奨されない
- メガネをつけて温泉やサウナに入ることも推奨されないが、コンタクトレンズよりはリスクが低い
- 温泉やサウナで視力を確保するならば、温泉用メガネが推奨される
- コンタクトレンズをつけたまま温泉に入ると、アカントアメーバ角膜炎になり、最悪の場合失明するリスクがある
- コンタクトレンズをつけて温泉に入る必要があるならば、せめて使い捨てタイプにする
- 長期使用タイプのコンタクトで温泉に入ったならば、専用液でしっかりと洗浄・保管する
- 目に異常を感じたら、すぐに医師に相談する