日本三大清流とは

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日本三大清流とは

2023年4月23日

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日本三大清流は「四万十川(高知)」「長良川(岐阜・愛知・三重)」「柿田川(静岡)」とされています。誰が提唱したかは不明ですが、公害問題やダム建設問題への反発、自然保護運動の高まりを受け、1980年代頃に定着したようです。

ここでは日本三大清流の概要について、簡単にご説明します。

日本三大清流の「清流」って何?

清流

一級水系とは

日本の「川」は基本的に、雨や雪解け水が支流となり、支流がたくさん集まって本流となり、河口から海に流れていきます。この水の連なりを「水系(すいけい)」と呼びます。

国土交通省はこの水系を「一級水系」「二級水系」「単独水系」に分けています。一級水系は国民の生活・経済上特に重要な水系、二級水系はその次に重要な水系、単独水系はそれ以外の水系です。一級水系は109、二級水系は2,710あります。

一級河川とは

「河川」は「一級河川」「二級河川」「準用河川」「普通河川」に分けられます。一つの水系は、複数の河川からなっていることになります。

一級水系の本流は一級河川、二級水系の本流は二流河川となります。それ以外は準用河川か普通河川です。一級水系の中に二級河川、または二級水系の中に一級河川が入ることはありません。大まかには、一級河川は国、二級河川は都道府県、準用河川は市町村、普通河川は地方自治体が管理します。

2021年のデータで、一級河川は14,079、二級河川は7,087あります。一級河川の方が多いので、一級のほうが希少ということはありません。

河川関係統計データ(国土交通省)

清流とは

「清流(せいりゅう)」とは、きれいな水の流れのことですが、何を持って清流と言うのか、決まった定義はありません。なんとなく「きれいな川」「自然が多く残った川」「水質が良い川」が清流と呼ばれています。

上記の一級河川とは関係がありませんが、国土交通省の発表する水質検査の結果が、イメージの形成に影響は与えているようです。2021年に水質が最も良好だった一級河川は、以下の通りです。

都道府県水系河川読み方
北海道後志利別川水系後志利別川しりべしとしべつがわ
北海道尻別川水系尻別川しりべつがわ
福島県阿武隈川水系荒川あらかわ
富山県黒部川水系黒部川くろべがわ
静岡県狩野川水系狩野川かのがわ
和歌山県新宮川水系熊野川くまのがわ
福井県北川水系北川きたがわ
鳥取県天神川水系天神川てんじんがわ
鳥取県天神川水系小鴨川おがもがわ
熊本県球磨川水系球磨川くまがわ
熊本県球磨川水系川辺川かわべがわ
宮崎県五ヶ瀬川水系五ヶ瀬川ごかせがわ

環境省が発表した「名水百選(1985年)」「平成の名水百選(2008年)」も影響を与えています。「名水百選」「平成の名水百選」に重複はないので、合わせて200選ばれていることになります。

また、1983年に放送されたTV番組「NHK特集 土佐・四万十川~清流と魚と人と~」のタイトルに「清流」とあったので、「四万十川は清流である」というイメージが広がりました。同時に、清流とは「(大きな)ダムのない河川」という考えも広まりました。

日本三大清流は誰が決めたか

日本三大清流は、「四万十川」「長良川」「柿田川」と言われていますが、誰が決めたということはなく、自然発生的に広まっていったようです。上記のように、水質や名水とも関係がなく、知名度や、文化的背景、社会情勢などによって定着していきました。

日本三大清流 四万十川

四万十川

「四万十川(しまんとがわ)」は、高知県を流れる、「渡川水系(わたりがわすいけい)」の一級河川です。日本三大清流の一つに挙げられています。本流に大きなダムがないことから、「日本最後の清流」と言われることもあります。

正式名称は「渡川」でしたが、1994年に「四万十川」に改名されました。昔は「四万十川」と書いて「わたりがわ」と読んでいたようです。「しまんと」の語源には諸説あり、はっきりと分かっていません。多くの川があるという意味で「四万十」、アイヌ語の「シ・マムト(とても美しい川)」「シムト(砂利の多いところ)」などの説があります。

源流は高岡郡津野町にある「不入山(いらずやま)」で、大きく蛇行しながら、四万十市の河口から土佐湾に流れています。延長は196kmで、日本では11番目の長さです。流域面積は2,186平方kmです。

四万十川の沈下橋

四万十川の本流に22本、支流に26本の沈下橋があり、四万十川を代表する景観として観光名所になっています。沈下橋とは、欄干がなく、水位が上昇すると水の下に沈むように設計された橋のことです。水に沈むことで、流木などが引っかかって橋が破損することを防いでいます。

四万十川の観光

キャンプ・アユ漁・カヌー・ラフティング・ジップライン・遊覧船など、自然を楽しめるレジャーが人気です。

また、四万十川の川沿いを走り、沈下橋を渡る四万十川ウルトラマラソンも人気です。通常のフルマラソンの42.195kmではなく、100kmと60kmのコースとなっています。

四万十川のうなぎ

四万十川は「天然うなぎ」でも有名です。うなぎは年間を通して捕れるものですが、栄養の蓄え方の違いから、味も変わります。うなぎの旬は「土用の丑の日」と言うように夏のイメージがありますが、実は栄養を蓄えて冬に入る前の10月~11月が一番おいしいとされています。逆に春から夏は、あっさりとした味わいを楽しめます。

しかし、四万十川ではうなぎを捕っていい時期は、4月~9月に限定されています。うなぎの生息数は年々減少しており、保護するための措置です。冬は、うなぎがほとんど動かないため、獲るのが難しいという事情もあります。また、個人で釣りを楽しむ場合でも「遊漁券」という許可証を購入する必要があります。

養殖うなぎは、年中獲ることができます。

日本三大清流 長良川

長良川

「長良川(ながらがわ)」は、主に岐阜県を流れる川で、「木曽川水系(きそがわすいけい)」の一級河川です。日本三大清流の一つとされています。

源流は、岐阜県郡上市にある「大日ヶ岳(だいにちがたけ)」です。「長良川源流の碑」が建てられていますが、実際の源流はそれよりもかなり上流です。そこから濃尾平野を流れ、岐阜県と愛知県の県境を通り、三重県桑名市の河口で「揖斐川(いびがわ)」に合流し、伊勢湾に流れます。延長は166kmで、日本で20番目の長さです。流域面積は1,985平方kmです。

長良川河口堰

「長良川河口堰(ながらがわかこうぜき)」は、長良川の河口にある「堰」です。

「堰」とよく似たものに「ダム」と「水門」があります。その差は曖昧で区別が難しい場合もあるのですが、一応、以下のようになっています。「ダム」「堰」「水門」はいずれも、川を横断する形で水を止める構造物です。このうち15m以上高さがあるものを「ダム」と言います。「堰」と「水門」のうち、堤防機能があるものを「水門」と言います。洪水時に「水門」は閉じることで水が流れないようにしますが、「堰」は逆に開放して水を流すようにします。つまり、通常に「水門」は開いていて、「堰」は閉じています。

長良川河口堰は、長良川に初めてできた堰です。長良川河口堰ができるまで、長良川は、日本の大きな川のうち、本流に堰のない唯一の川でした。治水と利水が目的とされましたが、自然環境への影響や、公共事業のあり方に対して、大きな反対運動が起きました。逆にそのことが、堰がない清流・長良川というイメージを広めました。

長良川の観光

長良川では、ラフティングやキャンプなどのレジャーが人気です。

また5月~10月に開催される「鵜飼観光」も人気です。「鵜飼(うかい)」とは、鳥の「鵜(う)」を使って、アユなどの魚を獲る漁法です。長良川では1,300年以上の鵜飼の歴史があり、日本で唯一の皇室御用の鵜飼となっています。観覧船に乗って、鵜飼の様子を間近で眺めることができます。

毎年8月に2回にわたって行われる「長良川花火大会」は、全国でも有数の大きな花火大会です。毎年30万人以上が集まります。短い時間に3万発を打ち上げるため、とても密度が濃く、しかも同じ場所で2日間行われるのは、全国でも長良川だけです。正確には、岐阜新聞・岐阜放送が主催する「長良川全国花火大会」と、中日新聞が主催する「全国選抜長良川中日花火大会」の2回に分かれています。東京オリンピックと新型コロナウイルスの影響で、2020~2022年は中止されていましたが、2023年は共同で「ぎふ長良川花火大会」が開催される予定です。

長良川に沿って走る長良川鉄道に乗って、ゆったり電車の旅を楽しむのもおすすめです。

日本三大清流 柿田川

柿田川

「柿田川(かきたがわ)」は、静岡県を流れる川で、「狩野川水系(かのがわすいけい)」の一級河川です。日本三大清流の一つとされています。

延長は1.2kmしかなく、日本で一番短い一級河川とされています。富士山に降った雨や雪解け水が地下水となり、数十箇所からある湧水群から、1日100万トン以上もの水が湧き出ています。これは、富士山全体の地下水の約2割に相当し、一番水量が多い場所と考えられています。その湧水は「東洋一」と表現されることもあります。柿田川湧水群は、「地質鉱物」の枠で、国の天然記念物に指定されています。「名水百選」や「二一世紀に残したい日本の自然百選」にも選ばれています。

柿田川の湧水群

約8,500年前の富士山の噴火で溶岩が流出しました。富士山周辺に降った雨や雪解け水が地下水となり、溶岩の中を約30年かけて浸透し、清水町にある溶岩の南端から水が湧き出ています。豊富な水量から、かつては工業水として使われ、水質汚染が進んでいましたが、1980年以降は自然保護活動が進んでいます。

柿田川公園内にある、「わき間」と呼ばれる水が湧き出ている場所も、かつての紡織工場の井戸跡です。特に「湧水第2展望台」の透き通ったコバルトブルーの湧水は人気で、多くの人が見物に集まります。

一年を通して水温が約15度に保たれており、そのまま飲めるほど水質も安定しています。その安定した環境から、周辺には豊かな生態系が築かれています。

柿田川の観光

1.2kmしかありませんので、四万十川や長良川のようにカヌーやラフティングといったアクティビティはありません。「柿田川公園」をゆっくり散歩するのがおすすめです。入場料は無料です。ピクニックやバーベキューも場所によっては可能となっています。

まとめ 日本三大清流について

日本三大清流とは「四万十川」「長良川」「柿田川」のことです。いずれも、水質が日本一良いとか、延長が一番長いとかいう訳ではありませんが、ダムや堰がない、自然環境が保護されている、景観が良いなどの理由で、日本を代表する清流として認められています。

四万十川は、沈下橋の景観が特徴的です。長良川は、鵜飼や花火大会が有名です。柿田川は、湧水群が人気です。

以上、お役に立ちましたら幸いです。

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