シャンパンは、シュワシュワとした炭酸が特徴であり、魅力と言えます。しかし特定の状況においては、その炭酸をあえて抜く必要がある人もいます。この記事では、シャンパンの炭酸を抜く理由や、効率よく炭酸を抜く方法について、詳しく解説します。
ポイント
- シャンパンの製法と炭酸の関係
- シャンパンの炭酸を抜く理由と方法
- シャンパンの炭酸を抜くための機器
- なぜ割り箸は炭酸を抜くために効果的なのか
シャンパンの炭酸を抜く理由
シャンパンは、まさにその炭酸が特徴ではありますが、あえて炭酸を抜いて飲むという人もいます。ここでは、そもそもシャンパンとは何か、シャンパンの製法、シャンパンから炭酸を抜く理由について解説します。
シャンパンとは
まず「スパークリングワイン」とは、発泡性のワインのことです。
「シャンパン」は、フランスのシャンパーニュ地方で作られたスパークリングワインのことです。産地の他、ぶどうの品種や製造方法に細かな決まりがあり、特定の条件を満たしたものだけが「シャンパン」を名乗ることができます。
代表的な銘柄として、以下のようなものがあります。
- モエ・エ・シャンドン(Moët & Chandon)
- ヴーヴ・クリコ(Veuve Clicquot)
- ドン・ペリニヨン(Dom Pérignon)
- ルイ・ロデレール(Louis Roederer)
- ポメリー(Pommery)
- ボランジェ(Bollinger)
- ペリエ・ジュエ(Perrier-Jouët)
- ポル・ロジェ(Pol Roger)
- タタンジェ(Taittinger)
- ローレン・ペリエ(Laurent-Perrier)
これらのシャンパンがあまりにも人気なので、スパークリングワイン=シャンパンという誤った使い方がが広まっています。
シャンパンはなぜ炭酸があるのか
スパークリングワインを作る方法はいくつかあります。代表的なものはこちらです。
- トラディショナル方式
- トランスファー方式
- リュラル方式
- シャルマ方式
- 炭酸ガス注入方式
トラディショナル方式
トラディショナル方式では、一次発酵を終えたステイルワインに、糖分と酵母を加えて、瓶の中で二次発酵させます。この発酵により、アルコールと二酸化炭素が発生します。この二酸化炭素が「泡」となるわけです。
また発酵により、瓶の中に「滓」が溜まるので、これを取り除く必要があります。瓶を少しずつ傾け、滓を瓶口に集め、低温の液体に浸けることで凍結させ、取り除きます。
基本的にシャンパンは、このトラディショナル方式によって作られます。
トランスファー方式
トランスファー方式は、途中まではトラディショナル方式と同じですが、滓を取り除く時に、瓶ごとにではなく、一度タンクに移し替えてから、まとめて取り除きます。その後、また瓶に移し替えます。
リュラル方式
リュラル方式は、糖と酵母を追加せずに、一次発酵で残った糖のみをさらに発酵させます。
そのため、トラディショナル方式に比べてアルコール度数は低くなり、ブドウ本来の香りが豊かになります。
シャルマ方式
シャルマ方式は、それぞれの瓶内で二次発酵させるのではなく、タンクでまとめて発酵させます。
コストを抑え、大量生産できる方式です。
炭酸ガス注入方式
炭酸ガス注入方式は、ワインに直接炭酸ガスを注入して作るスパークリングワインです。
一番安価なスパークリングワインとなりますが、低品質を意味する訳ではありません。この方式が合うワインもあります。
なぜシャンパンの炭酸を抜くのか
炭酸は、シャンパンの一番の魅力と言えますが、あえて炭酸を抜いて飲むという人もいます。その理由をみてみましょう。
炭酸が苦手だから
まず、単純に炭酸飲料が苦手だからということが挙げられます。
それならば最初から飲まなければいいという話もありますが、パーティ等で、自分が注文した訳ではないけれど、飲む必要があるという状況は、度々発生します。
ゲップを防ぐ
炭酸ガスを大量に吸い込むと、ゲップの要因となります。ゲップは、上流階級のパーティの場においては、タブーとなります。
そのため、あえて炭酸を抜いて飲むという行為も、認められていたようです。後述しますが、専用器具まで存在しています。
大量に飲まないといけないから
キャバクラやホストクラブでは、注文されたシャンパンを飲むことが、売上につながります。
炭酸が入っていると、胃が膨れて多くは飲めないので、炭酸を抜くことで飲みやすくしています。
また、炭酸が入っているとアルコールに酔いやすいという説もあるので、酔いつぶれないためにも炭酸を抜く必要があります。
炭酸なしのシャンパンってあるの?
では、最初から炭酸が入っていないシャンパンはあるかということですが、シャンパンの定義として、細かな製法が定められているので、炭酸なしのシャンパンはありえません。基本的に、シャンパンは発泡性ワインなので、発泡しなければただのワインです。
シャンパーニュ地方で作られた無発泡のワイン、ノンアルコールのシャンパン風飲料、炭酸ぶどうジュース、微炭酸のスパークリングワインというものは存在します。
しかし、無炭酸のスパークリングワインというのは、言葉が矛盾しているので存在しません。
シャンパンの炭酸を抜く方法
シャンパンの炭酸は、放置すれば抜けていくものですが、それを待っている訳にはいきません。ここではシャンパンの炭酸を効率的に抜く方法と、その器具についてご紹介します。
シャンパンマドラーとは
シャンパンの炭酸を抜きたいというニーズは昔から存在していたようで、「シャンパンマドラー」という専用器具が存在します。英語では「Swizzle Stick」という言い方が一般的です。
小さな泡だて器のような構造で、シャンパングラスに注がれたシャンパンをかき混ぜることで、炭酸を抜くというものです。
ゲップを防ぐという目的で、上流階級の間でも用いられていたことから、細かな装飾が施された美品としての側面もあります。
銀製で、ブドウや馬などの様々なモチーフが描かれており、見るだけでも楽しいものです。シャンパングラスと合わせて揃えてみるのもいいでしょう。
ただしほとんど骨董品なので、アンティークショップなどでしか手に入らないかもしれません。
割り箸を使ってシャンパンの炭酸を抜く方法
エレガントさは失われますが、もっと簡単にシャンパンを抜くには、割り箸を使う方法があります。
方法は、きれいな割り箸を入れてかき混ぜるだけです。
この方法は、ビールの泡を復活させる方法としてもよく知られています。別にビールの泡が「復活」している訳ではなく、単純に炭酸が抜け、それが泡になっているだけのことです。
シャンパンでは、ビールのような泡になることはないので、どんどん炭酸が抜けていきます。効率で言えば、専用のシャンパンマドラーよりも割り箸の方がはるかに優れています。見た目だけの問題ですね。
なぜ割り箸で炭酸が抜けるのか
割り箸をビールやシャンパンなどの炭酸飲料に入れることで、炭酸が抜ける現象は、割り箸の特性と物理学の原理によるものです。
割り箸は一般的には木製で、その表面には微細な凹凸が無数にあります。これらの凹凸に炭酸ガスの分子が集まり、泡の「核」を形成します。
泡が形成されると、割り箸の側面に沿って上昇していきます。上昇するにつれ、泡は大きくなり、表面で破裂します。これにより、液体中にあった炭酸ガスが、空気中に放出されるという現象が生じます。
つまり、割り箸の表面の凹凸と、細長い形状、そしてかき回すという行為が、炭酸を抜けやすくしているということです。
効率よく炭酸を抜くには、割り箸の表面ができるだけ液体に触れるように、グラスの底まで届くようにするとよいでしょう。
まとめ
記事の内容をまとめます。
- シャンパンは、フランスのシャンパーニュ地方で作られたスパークリングワインのこと
- シャンパンは、一次発酵を終えたワインに、糖分と酵母を加えて、瓶の中で二次発酵させて作る
- 炭酸なしのシャンパンは基本的に存在しない
- 炭酸はシャンパンの一番の魅力と言えるが、あえて炭酸を抜いて飲む人もいる
- 炭酸を抜く理由は、炭酸が苦手、ゲップを防ぐ、大量に飲むためなど
- シャンパンマドラーという、炭酸を抜く専用器具が存在する
- 割り箸を使ってシャンパンの炭酸を抜く方法もある
- 割り箸の表面の凹凸と、細長い形状、かき回す行為が、炭酸を抜けやすくしている