カルティエとティファニーは、世界五大ジュエラーの一つであり、日本でも広く愛されているブランドです。どちらも多くの商品を展開していますが、若干方向性の違いがあり、客層も異なります。この記事では、カルティエとティファニーのブランドの特徴と、デザインと素材について解説します。また、コレクションを代表するアイテムを比較し、ブランドの違いを明確にします。
ポイント
- カルティエ・ティファニーの歴史と概要
- カルティエ・ティファニーの特徴
- ブランドイメージと客層の違い
- ネックレス・時計・結婚指輪・婚約指輪の比較
カルティエとティファニーどっちが好き?
カルティエとティファニーについて、ブランドの概要、製品ラインナップの違い、素材とデザインの特徴、ブランドイメージと年齢層、どちらがハイブランドかについて解説します。
カルティエとは
「カルティエ(Cartie)」は、フランスの高級ジュエリーブランドです。1847年に「ルイ=フランソワ・カルティエ(Louis-François Cartier)」によって、パリで創業されました。
高度な職人技と、独創的なデザインで知られています。
カルティエは、イギリスのエドワード7世から「王の宝石商、宝石商の王(Jeweller of kings , king of jewellers)」と讃えられ、多くの王室御用達ブランドとなっています。
現在はリシュモングループに所属しています。
ティファニーとは
「ティファニー(Tiffany)」は、アメリカの高級ジュエリーブランドです。1837年に「チャールズ・ルイス・ティファニー(Charles Lewis Tiffany)」と「ジョン・B・ヤング(John B. Young)」によって、ニューヨークで創業されました。
高品質なダイヤモンドと、親しみやすいジュエリーデザインで知られています。
「ティファニーブルー」と呼ばれるカラーの商品箱が特徴で、ブランドの象徴となっています。箱がブランドの象徴というのも変な話ですが、ティファニーは決して空箱を販売せずに、商品を購入することでしか箱を手に入れることはできない、というポリシーを徹底しているためです。
現在はLVMHグループに所属しています。
製品ラインナップ
カルティエとティファニーは両方とも多くの商品展開をしており、ラインナップはほぼ同じと言えます。
大まかには、以下のような商品を取り揃えています。
- ジュエリー
- 婚約指輪・結婚指輪
- 時計
- 革製品
- アクセサリー
- インテリア
- 食器
- ステーショナリー
- フレグランス
カルティエは、腕時計に強みがある点と、メンズも幅広く展開しているという特徴があります。
ティファニーは、結婚・婚約指輪のイメージが強く、値段の幅が広いという特徴があります。
素材とデザイン
カルティエはプラチナ、ティファニーはダイヤモンドというように、それぞれ特徴的な素材やデザインがあります。
カルティエ
カルティエは「プラチナ」「ガーランド」「アール・デコ」「パンテール」で特に知られています。
プラチナ
カルティエは、世界で最初にプラチナ(白金)をジュエリーに使用したとされています。
プラチナは、白い輝きがダイヤモンドなどの美しさを引き立てるだけでなく、複雑で繊細な装飾を可能とします。
ガーランド
1900年頃、そのプラチナを使用して作り上げたのが「ガーランド(Garland)」スタイルのジュエリーです。
ガーランドとは「花輪」のことで、編み込んだ植物のように、プラチナを使って、しなやかで繊細なジュエリーを完成させました。
アールデコ
当時のヨーロッパでは、「アール・ヌーヴォー(Art nouveau)」スタイルと呼ばれる、植物を模した曲線的なデザインが流行していました。これは、産業革命に対する反発とされています。
それに再反発する形で、カルティエは直線的で幾何学的な、「アール・デコ(Art Déco)」スタイルのデザインを発表します。特に1914年に発表した腕時計「タンク」が有名です。
アール・デコという言葉ができたのは、1925年に開催されたパリ万博で、「Exposition Internationale des Arts Décoratifs et Industriels modernes(現代装飾美術・産業美術国際博覧会)」の略となります。カルティエはそれを10年以上先取りしていたと言えます。
パンテール
また同じく1914年には、「パンテール(Panthère)」という「豹」をモチーフとしたデザインを発表しています。これは、女性の力強さと自然回帰を象徴しており、1930年代以降に人気となりました。また、1980年代以降にも再注目されます。
このようにカルティエは、伝統的でありながらも、常に時代を先取りする、革新的なデザインで知られています。
ティファニー
ティファニーは「シルバー」「ダイヤモンド」「ティファニー・セッティング」で特に知られています。
シルバー
ティファニーは1837年に文房具店として創業し、その後ヨーロッパから流れた宝石をアメリカ向けに販売していましたが、1851年には自社でシルバー製品の製造を始めています。
この時に使用した銀の純度92.5%の「スターリングシルバー」が、アメリカの業界基準として採用されました。
1867年には、パリ万博の銀器部門で銅メダルを獲得し、ヨーロッパにも引けを取らない品質の高さを証明しました。
ダイヤモンド
ティファニーは、1878年に、南アフリカで発見された287.42カラットもある、世界最大級のイエローダイヤモンドの原石を購入しました。カットされた「ティファニー・ダイヤモンド」は、ニューヨーク店に飾られ、ブランドの象徴となりました。
また、業界の4C基準を大きく上回る独自基準を設けるなどして、ダイヤモンドと言えばティファニーという評判を確立しています。
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ティファニーセッティング
1886年、ブリリアントカットのダイヤモンドを6本の爪で支える「ティファニー・セッティング」を発表します。
ダイヤモンドを一番美しく見せるとされるこのセッティングは、婚約指輪の標準デザインとして世界中に広まりました。
このようにティファニーは、業界標準を作り続けてきた、王道ブランドと言えます。
ブランドイメージと年齢層・客層
カルティエとティファニーでは、若干カルティエの方が年齢層が高くなっています。
カルティエ
カルティエは、ヨーロッパ王室とのつながりを持つ、格式の高い、伝統的で高級感のあるブランドとして知られています。上品でエレガントと評されます。
特に、30代後半から50代の顧客に支持されています。ラブブレスレットやジュストアンクルなどは、若年層にも人気です。
伝統的で豪華なライフスタイルを彩ったり、特別な記念日のプレゼントとして選ばれています。
ティファニー
ティファニーは、商品展開が幅広く、高級ながらもカジュアルで親しみやすいブランドとして知られています。開放的でモダンと評されます。
特に、20代後半から40代の顧客に支持されています。ブライダルジュエリーで強い影響力を持っているため、結婚を控えた若いカップル間での知名度が高いという理由もあります。
初めての高級ジュエリーや、ブライダルジュエリー、現代的なスタイルを彩るジュエリーとして選ばれています。
どちらがハイブランド?
カルティエとティファニーは、「ハリーウィンストン」「ブルガリ」「ヴァンクリーフ&アーペル」と並び、世界5大ジュエラーに挙げられており、どちらも高級ブランドとして認知されています。
しかし、カルティエが富裕層をターゲットにしているのに対し、ティファニーの方が商品価格の幅が広いため、若干カルティエの方がハイブランドとして見られる傾向にあります。
例えば、両社を代表する婚約指輪の価格で比較してみましょう。
- カルティエ:40万円~
- ティファニー:20万円~
どちらも素材やサイズによって上限がないのは同じですが、下を比べればティファニーは20万円からとなっているで、若いカップルにも手の届きやすい価格となっています。それに比べると、カルティエの方が多少ハードルが高いです。
その違いは客層にも表れており、ティファニーの方が間口が広くなっています。
有名なエピソード
カルティエとティファニーを代表する逸話をご紹介します。
カルティエ:エドワード8世の婚約指輪
1936年1月、「エドワード8世(Edward VIII)」がイギリス王位を継承します。エドワード8世は独身でしたが、アメリカ人の「ウォリス・シンプソン(Wallis Simpson)」との交際が発覚します。
しかしウォリスには離婚歴があり、さらに再婚した夫とも離婚協議中の人妻であったため、社会的・道義的・宗教的に大論争となりました。
結果、1936年12月、エドワード8世は王位を捨て、ウォリスとの結婚を選択します。これが「王位を掛けた恋」として、世界中で話題となりました。
この時に、エドワード8世からウォリスに贈られた婚約指輪が、カルティエのエメラルドリングでした。
またウォリスはパンテールを好んで着けたので、野性的な魅力とも相まって、パンテールを世界的な人気コレクションへと押し上げました。
ティファニー:ティファニーで朝食を
ティファニーと言えば、「オードリー・ヘプバーン(Audrey Hepburn)」主演の映画『ティファニーで朝食を(Breakfast at Tiffany’s)』をイメージする方も多いでしょう。
1961年に公開されたこの映画では、実際にティファニーのジュエリーを着け、ティファニーのニューヨーク店で撮影が行われています。
オードリーの黒いドレスに輝くパールネックレスとダイヤモンドティアラは、何十年経っても人々の心に残り続けています。この映画は、ティファニーとオードリー双方にとって、アイコニックなものとなりました。
カルティエとティファニーどっちを選ぶ?
カルティエとティファニーについて、ネックレス、時計、結婚指輪、婚約指輪について、それぞれ代表する1つのコレクションを比較してご紹介します。
ネックレス
カルティエとティファニーの、代表的なネックレスコレクションをご紹介します。
カルティエ:トリニティ
「トリニティ(Trinity)」とは「3」という意味で、イエローゴールド、ホワイトゴールド、ピンクゴールドの3つのリングが合わさった形をしています。シンプルなものから美しさを生み出す、カルティエを代表するデザインとなっています。
リングが定番ですが、ネックレスも人気です。
ティファニー:オープンハート
ティファニーの「オープンハート(Open heart)」は、愛することへの祝福の意味が込められており、柔らかな曲線が特徴のデザインです。
特に日本では、1980年~90年代のバブル期に大流行し、時代を象徴するアイテムとなりました。
時計
カルティエとティファニーの、代表的な時計コレクションをご紹介します。
カルティエ:タンク
「タンク(Tank)」とは「戦車」のことで、第一次世界大戦の戦車をイメージして作られました。アール・デコの直線的なデザインが特徴です。
ティファニー:アトラス
「アトラス(Atlas)」とはギリシャ神話の神で、天空を支える者とされています。そしてティファニーのニューヨーク本店には、このアトラス神が支える大きな時計が飾られています。
その名を冠した腕時計のコレクションは、まさにティファニーを代表していると言えるでしょう。
結婚指輪
カルティエとティファニーの、代表的な結婚指輪コレクションをご紹介します。
カルティエ:バレリーナ
カルティエの「バレリーナ(Ballerine)」には、気品と調和という意味が込められています。
ストレートとカーブの2種類があります。
ティファニー:T&CO. バンドリング
バンドリングとは、いわゆる結婚指輪のことです。
ここでは、ティファニーのロゴが入ったシンプルなものをご紹介します。
婚約指輪
カルティエとティファニーの、代表的な婚約指輪コレクションをご紹介します。
カルティエ:ソリテール1895
「ソリテール(Solitaire)」とは、ジュエリー業界で使われる言葉で、一つの宝石だけを中央に置くセッティングのことです。
「ソリテール 1895」は、1895年に発表されたデザインで、以後カルティエを代表するコレクションとして知られています。
ダイヤモンドの美しさを引き出す、シンプルながらも洗練されたデザインが特徴です。
ティファニー:ティファニーセッティング
ティファニーと言えば、1886年に発表した「ティファニー・セッティング(Tiffany setting)」で有名です。
6本の爪で高い位置にセッティングされたダイヤモンドは、360度、どの角度からみても輝きが最大限になるように計算されています。
まとめ カルティエとティファニー買うならどっち?
記事の内容を表にまとめます。
カルティエ | ティファニー | |
---|---|---|
創業 | 1847年 | 1837年 |
本拠地 | フランス・パリ | アメリカ・ニューヨーク |
グループ | リシュモン | LVMH |
ブランドイメージ | ヨーロッパ王室御用達 伝統 気品 | アメリカの定番 モダン 開放的 |
有名な素材 | プラチナ | シルバー ダイヤモンド |
有名なデザイン | アール・デコ パンテール | ティファニー・セッティング |
年齢層 | 30代後半から50代 | 20代後半から40代 |
婚約指輪の価格 | 40万円~ | 20万円~ |
ネックレスの定番 | トリニティ LOVE | オープンハート |
時計の定番 | タンク サントス パンテール | アトラス |
結婚指輪の定番 | バレリーナ | T&CO. |
婚約指輪の定番 | ソリテール1895 | ティファニー・セッティング |