日本三大漁港とは、銚子港(千葉県銚子市)、釧路港(北海道釧路市)、焼津港(静岡県焼津市)と言われています。
ここでは、それぞれについて概要と、主要な水揚げ魚種について簡単に解説いたします。
日本三大漁港 銚子港
銚子港の概要
「銚子港(ちょうしこう)」正式には「銚子漁港」とは、千葉県銚子市にある漁港です。年間の水揚量では全国一位であり、日本三大漁港の一つとされています。また、特定第3種漁港に指定されています。日本全国に港は3000箇所近くありますが、第三種漁港に指定されているのは銚子港を含めた13箇所のみです。
利根川の河口付近に位置し、太平洋に突き出した半島の三面が海に囲まれています。酒器の「銚子」に似ていることからその名がついたと言われています。沖合には大陸棚が広がり、そこで黒潮と親潮、利根川がぶつかることから、良好な漁場となっています。
銚子港の水揚げ魚種
イワシ
梅雨の時期に水揚げされるイワシは「入梅(にゅうばい)イワシ」と呼ばれ、脂が乗っており、一年の中で一番美味しいと言われています。また銚子市は市の魚をイワシと定めています。
旬は6月~7月です。
サバ
サバは、銚子港で一番水揚げされる魚で、全体の半分以上を締めます。特に700グラム以上の大型のものを「銚子極上サバ」と呼びます。全体の1パーセントしかないという貴重なサバです。
旬は10月~2月です。
マグロ
銚子港は漁場に近いところにあるため、新鮮なマグロが冷凍されることなく、「生」で水揚げされます。代表的な品種は「メバチマグロ」で、味は本マグロに比べるとすこしあっさりしています。鮮やかな赤身が特徴です。一年を通して水揚げされますが、
旬は10月~2月です。
キンメダイ
銚子港のキンメダイは、脂が乗っており、高い評価を得ています。中でも500グラム以上のものを「銚子つりきんめ」と呼び、ブランド化されています。
キンメダイは全国で漁獲されますが、旬は地域によって異なります。銚子では、産卵に向けて栄養を蓄えた5月~6月が美味しいと言われています。
サンマ
秋といえば庶民の魚サンマですが、近年は漁獲量が減少し、高級魚になってきています。銚子港のサンマは鮮度がよく、刺し身でも食べられます。
旬は9月~10月です。
日本三大漁港 釧路港
釧路港の概要
「釧路港(くしろこう)」は、北海道釧路市にある港湾です。24時間運用の国際湾港として、重要湾港や重点湾港に指定されています。「釧路漁港」はその一部です。
水揚量は全国で2位、北海道で1位を誇り、日本三大漁港の一つとされています。
釧路港の水揚げ魚種
釧路市では、旬の魚を「くしろプライド釧魚(せんぎょ)」としてブランド化し、PRしています。ここでは代表的なものをご紹介します。
スケトウダラ
スケトウダラは、釧路で一番水揚げされている魚です。主にかまぼこなどのすり身の原料として使用されます。その他に、鮮魚としても流通しています。
旬は11月です。
サケ、トキシラズ
サケというと秋の魚というイメージがありますが、春から夏にかけて水揚げされるサケを「トキシラズ」と言います。「時を知らない」から来ています。秋鮭は産卵のために海から川に戻るのですが、トキシラズは産卵の準備ができておらず、その分栄養を身に蓄えており、とても脂の乗りがよく、高級魚として扱われています。
ちなみにサケは白身魚に分類されており、身が赤く見えるのは赤色色素を持つエサを食べているためです。
秋鮭の旬は9月~10月、トキシラズの旬は5月~6月です。
スルメイカ
九州あたりで生まれ、北海道まで北上してきたイカです。
旬は8月~9月です。
タコイカ
タコイカとは、足が8本の「イカ」のことです。生まれた時の足は10本ですが、成長の過程で失われ8本となります。
旬は1月~2月です。
ナガコンブ
ナガコンブは、時期によって厚みが異なり、呼び名も変わります。薄いものはサラダ、厚いものは佃煮などに使われます。
4月~5月「早採りアオコンブ」、6月「棹前コンブ」、9月「厚葉コンブ」
ツブ
ツブとは巻き貝の一種ですが、様々な種類の貝がまとめて「ツブ」と呼ばれています。釧路でよく採れるのは「マツブ」「灯台ツブ」「砂ツブ」です。
マツブの旬は7月、灯台ツブの旬は6月、砂ツブの旬は1月です。
シシャモ
シシャモは日本固有の魚で、北海道太平洋側の一部の地域にしか生息していません。産卵のために川に戻り、アイヌ文化と深い関わりがあります。
旬は11月です。
ワカサギ
釧路港のワカサギは阿寒湖で漁獲されたものです。ワカサギは環境適応能力が高く、元々は霞ヶ浦に生息していたワカサギを、食用のために阿寒湖に放流したものとされています。
旬は2月です。
ヒメマス
釧路港のヒメマスは阿寒湖で漁獲されたものです。阿寒湖が原産です。ベニザケと同じ種ですが、大昔に湖に残留したものと考えられています。
旬は6月です。
キチジ
キチジはカサゴ科の深海魚です。各地で呼び名が異なり「キンキ」「キンキン」「メイセン」「アカジ」などと呼ばれています。釧路では「メンメ」と呼んでいます。
旬は12月です。
クロハモ
「ハモ」と名がついていますが、実際は「アナゴ」に分類されています。主に加工品の原料として流通していますが、天ぷらなどで食すこともできます。
旬は12月です。
日本三大漁港 焼津港
焼津港の概要
「焼津港(やいづこう)」正式には「焼津漁港」は、静岡県焼津市にある漁港です。全国に13しかない特定第3種漁港の一つに指定されています。
少し複雑なのですが、焼津市には「焼津港」「小川港」「大井川港」の3つの港があり、焼津港と小川港を合わせて「焼津漁港」と呼んでいます。さらに焼津港は「焼津地区」と「新港地区」の2つに分かれています。
焼津港(焼津地区)は、海外まき網漁業が中心で、主に冷凍カツオが水揚げされます。焼津港(新港地区)は、遠洋のカツオやマグロ漁船が中心です。小川港は、沿岸漁業が中心で、サバやアジなどが水揚げされます。
大井川港は工業港ですが、漁港区もあり、シラスやサクラエビなどが水揚げされます。
マグロの水揚げ量は日本一で、日本全体の三分の一が焼津漁港に集まります。
焼津港の水揚げ魚種
カツオ
焼津港のカツオは赤道付近で漁獲されたもので、脂が少なくさっぱりとした味が特徴です。
特に「カツオのたたき」が有名で、船上で急速凍結したものを、水揚げ後に解凍することなく、そのまま焼き上げます。
マグロ
焼津港は、水揚げ金額では日本一となっており、それを支えているのが「マグロ」です。「ミナミマグロ」「メバチマグロ」「キハダマグロ」「ビンナガマグロ」などが水揚げされます。
ミナミマグロは、その名の通り南半球に生息しており、甘みが強く、高級魚として扱われています。
メバチマグロは、赤道付近に生息しており、目が大きいことが特徴です。赤色がはっきりしており、スーパーなどで一番良く見るマグロです。
キハダマグロは、メバチマグロと同じ地域に生息しており、黄色の体が特徴です。味はあっさりしており、特に関西圏で人気です。缶詰にもよく使われます。
ビンナガマグロは、体調1mほどで、マグロとしては小型です。「ビンチョウ」「ビントロ」などとも呼ばれます。比較的安価で、様々な用途に使われます。
サバ
サバは様々な用途に使われますが贈答品としての「塩サバ」や、「さばチキン」が人気です。
アジ
アジは日本の沿岸に広く生息しており、大衆魚として親しまれています。
シラス
シラスとは、色が白い稚魚の総称のことですが、多くの場合はカタクチイワシの稚魚のことを指します。
サクラエビ
日本では、サクラエビは駿河湾だけで漁獲されています。それも年に二回の決められた時期だけで、慎重に保護されています。
まとめ 日本三大漁港について
日本三大漁港とは、銚子港、釧路港、焼津港のことです。
それぞれについて、概要と水揚げされる魚種についてご説明しました。
お役に立ちましたら幸いです。