走り幅跳びは、助走をしてどれだけ遠くに跳べたかを競う競技です。その歴史は古く、紀元前9世紀の古代オリンピックから存在していたと言われています。もちろん現在のオリンピックでもおこなわれていますし、学校の体育の授業にも取り入れられていますね。
ここでは、女子中学生向けに走り幅跳びのコツを「ウォーミングアップ」「助走」「踏切」「空中動作」「着地」の5つに分けてご説明します。
女子中学生走り幅跳び ウォーミングアップのコツ
まずは、ウォーミングアップです。ウォーミングアップの目的は、筋肉を温めることです。これにより、怪我を防ぎ、パフォーマンスを向上させることができるとされています。次の3つのステップに分けて考えるとよいでしょう。
軽い有酸素運動
ウォーキングやジョギングなどの軽めの有酸素運動を10分程度おこないましょう。心拍数を少し上げることを目的とします。
心拍数は急に上がるのではなく、徐々に上がっていくのが望ましいです。最初はゆっくりとしたペースで、体を慣らしていくようにしましょう。
体だけでなく、心の準備という側面もあります。これから運動をするということを心に伝え、集中力を高めていきます。
ダイナミックストレッチ
ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)とは、動きのあるストレッチです。
一般的にストレッチと言うと、筋肉をじわじわ伸ばしていく静的ストレッチを思い描く方が多いと思いますが、近年では静的ストレッチは、筋が弛緩しすぎてかえって怪我のリスクが高まったり、パフォーマンスが落ちたりすると言われています。そのため運動前には静的ストレッチではなくダイナミックストレッチをするようにしましょう。
筋肉を伸ばすのではなく、関節を動かすことを意識して、足を上げたり、腰を回したりする運動をしていきましょう。走り幅跳びに関係がありそうな箇所だけでなく、全身のバランスを考え、少しずつ可動域を広げていきます。
走り幅跳びに近い運動
走り幅跳びには「助走」「踏切」「空中動作」「着地」の4つの段階があります。それぞれの一部の動作を切り抜いて、動きのイメージを強化できるように、繰り返し行いましょう。
例えば、踏み切った時に足を引き上げる動作のみ行なう、着地の時の動作のみ行なう、などです。
女子中学生走り幅跳び 助走のコツ
走り幅跳びの助走では、決められた距離の中でトップスピードに達して、理想的なフォームで踏切に入ることが重要です。
スピードと距離には明確な相関関係がありますので、スピードは速ければ速いほうがよいです。走り幅跳びだけでなく、短距離走としての練習や、筋力トレーニングをするとよいでしょう。
ただしスピードだけでは記録が頭打ちとなります。次に重要となるのがリズムです。走り幅跳びの助走では、スピードとリズムの両方が必要となります。全速力の走りだと、リズムを作るのが難しく、力強く踏切をすることもできなくなります。体感では、9割くらいのスピードで走るようにしましょう。
そのためには、一歩ずつの歩幅とリズムがイメージできている必要があります。練習では、そのイメージができるように、目印を置いていくとよいでしょう。目印には2種類あります。一つは、踏切版までの実際の距離で、3m間隔で置くと良いでしょう。もう一つは、足を置いていく位置です。
最初は大股で、後半になると詰まってくる感じです。目印の横を踏むイメージで、リズムを作っていきましょう。
また、短距離走では全体の上限運動がなるべくないように抑えますが、走り幅跳びの助走では、やや上下に弾みがあるイメージです。短距離走と違って、リズムに変化をつける必要があるので、リズムの波に合わせて、体も上下する感じです。
女子中学生走り幅跳び 踏切のコツ
踏切では、助走のスピードを上に変換して、斜め前の空中に跳ぶようにします。踏切は、走り幅跳びの中で一番重要なところと言われています。
立ち幅跳びは膝の曲げ伸ばしを使って飛びますが、走り幅跳びで膝を深く曲げると、助走で付けたエネルギーを膝で吸収してしまいます。助走でつけた横向きのエネルギーを、上向けに変換する必要があります。これが踏切の大切なところです。
踏み切りの瞬間は、上体が起きていて足が体の真下に来るようにします。助走の勢いで前のめり過ぎたり、踏み切りを意識しすぎて後傾したりすると、上への力を生み出せません。
踏切脚を突っ張り棒のようにして、反対の脚と腕を振り子のようにし、その場で背伸びをするイメージで、飛び上がるようにします。ジャンプをするというより、引っかかって吹っ飛ぶ感じです。
また、踏切直前で少し重心を低くすることで、上へ跳びやすくなります。助走の時と同じで、上下のリズムを意識しましょう。
練習では、踏切台を使用するとよいです。この時に、空中姿勢は考えずに、踏切姿勢のまま着地するようにして、繰り返し練習しましょう。
目線は、位置確認のために下を見てしまいがちですが、水平よりやや上を見るようにします。
女子中学生走り幅跳び 空中動作のコツ
走り幅跳びの空中動作には、「かがみ跳び」「反り跳び」「はさみ跳び」の3種類があります。それぞれの特徴をご説明します。
かがみ跳びのコツ
かがみ跳びは、踏切の後に、振り上げた脚(リード脚)を前にしたままにする跳び方です。
着地が簡単なので、初心者の女子中学生にはおすすめの跳び方です。まずはかがみ跳びから練習をするとよいでしょう。
かがみ跳びという言葉から、上半身を前に倒すようなイメージがありますが、かがむのは下半身の方です。両足を抱え込み、体育座りのポーズで飛ぶようなイメージです。
コツは、空中で上半身をまっすぐ垂直に保つことです。最初、リード脚は前にありますが、踏切脚は後ろに残したままです。最後に踏切脚を前に引き上げて両足で着地するようにします。
反り跳びのコツ
初心者のうちは、動作が単純なかがみ跳びの方が記録が伸びるかもしれません。かがみ跳びで限界が見えてきたら、次は反り跳びに挑戦しましょう。反り跳びは、トップ選手も採用している、飛距離が伸びるフォームです。
反り跳びのコツは、振り上げた脚(リード脚)を、下に降ろすことです。踏切脚は後ろに残したまま、リード脚を持ってきて揃える形でキープします。これがかがみ跳びに比べて難しいところですね。
また、腰を前に押し出し、両手を上にばんざいして、体を反らすようにして跳びます。後半では、両膝を軽く曲げつつ、両腕を下に振り下ろすようにして着地します。
この空中動作をすることで、前につんのめる動きを打ち消し、有利な着地姿勢をつくることができます。
ポイントは、思い切って大きな動きをすることです。練習では大げさなくらいに、一つ一つの動作を大きくして行いましょう。
はさみ跳びのコツ
はさみ跳びは難しく、上級者向けなので、女子中学生には向いていないかもしれません。そもそも上級者がより飛距離を伸ばすための跳び方なので、飛距離が伸びない初心者のうちは、ほとんど意味がないと言われています。
はさみ跳びには「シングルシザース」「ダブルシザース」の2種類があります。シングルシザースは6m以上、ダブルシザースは8m以上で有効です。6m以上飛べるようになったら、シングルシザースに挑戦しましょう。
かがみ飛び出は、踏切脚は後ろのまま、リード脚は前のままでした。反り跳びは、踏切脚は後ろのまま、リード脚を降ろして後ろで揃えました。はさみ跳びでは、踏切脚を引き上げ、リード脚を降ろして、脚を入れ替えるようにします。これがはさみ、英語でシザースと呼ばれる理由です。
はさみ跳びのコツは、空中を走るイメージです。見えない階段を駆け上がるように、脚を引き上げましょう。反り跳びがパワーなら、はさみ跳びはスピードです。しかしスピードの意識が強すぎると、高く跳ぶことができません。むしろ上へのイメージを強く持つとよいでしょう。
女子中学生走り幅跳び 着地のコツ
着地は、特に初心者の記録に大きく影響します。着地だけで30cm以上の差が出ると言われています。
どれだけ遠くに跳んでも、脚より後ろにお尻をついたら、そこが記録となります。ひじをついたら、さらにマイナス。背中をついてしまったら、記録どころではないですね。初心者だからこそ、着地の練習をしっかりとするようにしましょう。
コツは、太ももを胸に近づけるイメージを持つことです。胸を太ももに近づけようとすると、姿勢が崩れて前のめりになってしまいます。上体をまっすぐに保ち、太ももを引き上げて、両足が地面と並行になるようにしましょう。
両腕は、最初は前に投げ出します。これは、振り下ろすための予備動作です。着地の後半で、両腕を後ろに振り出し、上体を前に送るようにします。
同時に、かかとを前に突き出し、少しでも前に着地できるようにします。かかとがついたら、膝は自然と曲がります。着地位置にお尻を滑り込ませるようにします。ですが、最初は足が突き刺さった着地になってしまうと思います。まずは脚を投げ出してお尻で着地できるようにしましょう。それができてから、お尻をスライドさせるようにします。
着地の練習をするには、立ち幅跳びをすると良いです。軽く飛んで、着地の姿勢だけを練習していきましょう。
まとめ
女子中学生向け走り幅跳びのコツとして、
- ウォーミングアップ
- 助走
- 踏切
- 空中動作
- 着地
をご紹介しました。
ウォーミングアップでは、有酸素運動、ダイナミックストレッチ、実際の動きに近い運動をするようにしましょう。
助走では、スピードとリズム、そして軽い上下運動が重要となります。
踏切では、横のエネルギーを上に変換することをイメージしましょう。
空中姿勢は、最初はかがみ跳びから初め、反り跳び、はさみ跳びとステップアップしていきましょう。
着地は、足を前に投げ出して、お尻を滑り込ませることを意識します。
お役に立ちましたら幸いです。