「かわちい」は「かわいい」という意味で、若い世代を中心に最近流行している言葉です。ここでは「かわちい」の元ネタや、意味について、少し掘り下げて解説いたします。
かわちいの元ネタとは
「かわちい」とは「かわいい」という意味の若者語・流行語です。「かわちい」「かわちぃ」「かわちー」「かわち」などのバリエーションがあります。
「かわちい」は最近の流行語ではありますが、言葉自体は昔からありました。少なくとも「おいしい = おいちい」「うつくしい = うつくちい」という言い方は、かなり古くから存在します。古くからというより、赤ちゃん言葉なので、最初からありました。
「かわいい」が「かわちい」となる理由
まず、なぜ「おいしい」が「おいちい」になるかと言うと、日本語の「し」の発音が難しいからです。特に子どもは「し」が「ち」になりがちです。そこで、逆に子供っぽさを出すために、わざと「し」を「ち」にして「おいちい」になるわけです。
こちらの動画は、わざとやっているわけではありませんが、「ほしまち」が「ほちまち」になっています。大人にとっても「し」の発音は難しいのです。ちなみに「し」が「ち」になるのは、舌が歯茎について破裂音になるためです。舌は歯茎に触れないように少し引く必要があります。
でも、「かわいい」に「し」は入っていないですよね。おそらく「ちい」=「子供っぽい」=「かわいい」という図式ができ、他のものにも「ちい」を当てはめた結果、「かわいい」=「かわちい」になったと思われます。つまり「かわちい」は間違った赤ちゃん言葉です。
大人が「おいちい」と言ったら「何赤ちゃんぶってんだよ、キモ」となりますが、「かわちい」は赤ちゃん言葉ではないので、逆に許されているのかもしれません。
「かわちい」って「ちいかわ」の影響?
「かわちい」という言葉は以前からありましたが、最近になって流行したのは、「ちいかわ」の影響もあるのではないかと思います。
『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』は、ナガノ氏が2020年からTwitterで連載している漫画作品です。アニメ化もされています。
「ちいかわ = かわいい」に、上記の「しい」を「ちい」にするとかわいい理論が加わり、「かわいい = かわちい」となり、2020年以降流行となった可能性があります。「ちいかわかわちい」はもはやお約束の表現です。
オーエス言えてるちいかわかわちい
https://twitter.com/engwyuki/status/1665900171522355201
「かわちい」=「かわいい」+「ちいさい」?
「ちいかわ」は「ちいさくてかわいい」の略です。とすると、「かわちい」は「かわいくてちいさい」と言えなくもないです。おそらくそういう意味で使っている人は少ないでしょうが、「ちい」の語感から、無意識レベルで「ちいさい」が連想されていることはありそうです。
もともと「かわいい」の語源は「気恥ずかしい」という意味で、直視できないという感覚から「不憫だ」という意味に変わり、守ってあげたいという感覚から「愛おしい」という意味に変わり、現在の「かわいい」になりました。「かわいそう」と語源は同じですが、途中で意味が別れました。
「かわいい」という言葉自体に、「守るべき存在」という意味が含まれていますので、「かわちい」はさらに「小さい」を追加して強調していると見ることもできます。
ただこれは、そういう感覚もあるというだけで、語源としては、上記の赤ちゃん言葉の方だと思われます。
かわちいが逆に気持ち悪いとは
「かわちい」が気持ち悪い理由
上記で見たように「かわちい」は基本的には、幼児語・赤ちゃん言葉です。それをいい歳した大人が使っていると、気持ち悪く思われる場合があります。同様の例として
- 好き = しゅき
- 好き = ちゅき
- 凄い = しゅごい
などがあります。
TwitterやYouTubeのコメントであればギリギリ許せたとしても、実世界で使っていたとしたら、イタイ人ですよね。「かわちい」は2023年現在、女子高生の間で流行語となっていますが、何歳まで許されるのでしょうか……
かわちい
ってなに??んー、気持ち悪いんだけどw
知り合いがインスタのストーリーでよく言ってて、鳥肌立つ
使ってる人いたらごめんなさいだけどw可愛いでいいやん。可愛いより可愛いってこと?
https://twitter.com/Q7Ddj4ZA2kqPlXL/status/1664542769547988992
「ちいかわ」も気持ち悪い?
「かわちい」という言葉が流行している裏には、おそらく「ちいかわ」の人気もあるのですが、「かわちい」同様「ちいかわ」も気持ち悪いと言われることがあります。
「ちいかわ」は基本的に可愛い存在なのですが、「かわいい」「弱々しい」存在を前にすると、逆にいじめたくなる感情が出てくることがあります。これを心理学で「キュートアグレッション」と言います。むしろ「ちいかわ」という作品自体が、キュートアグレッションな内容となっています。
「ちいかわ」は失敗したり、ひどい目にあったりすることが多いので、気持ち悪いという人もいます。さらに「作品が気持ち悪い = そういう作品が好きな人が気持ち悪い」と派生しがちです。
また、流行っているからといって飛びついている人が気持ち悪い、コラボし過ぎで邪魔、という意見もあります。
まとめ 「かわちい」とは?
「かわちい」とは「かわいい」という意味の流行語です。
「かわちい」という言葉は昔からありましたが、2020年頃から女子高生を中心に人気となりました。その裏にはおそらく漫画・アニメ『ちいかわ』の影響があります。
「おいしい」が「おいちい」になるように、幼児は「し」が「ち」に変わりがちです。「うつくちい」「かなちい」はこのルールに則ったものです。しかし「かわいい」に「しい」はありません。「しい」がないのに「ちい」だけ抜き取ってくっつけてしまった。つまり「かわちい」は人工の間違った赤ちゃん言葉です。そこが逆に面白いのかもしれません。