ハミルトンはアメリカを代表する歴史ある時計ブランドとして知られていますが、値段が安いこともあり、ステータスとしては見られにくいところがあります。そのため、年齢によっては恥ずかしいという意見もあるようです。この記事では、ハミルトンの歴史と代表的なモデルの関係について詳しく解説しています。これを読むと、なぜハミルトンを着けるのかという理由が明確となり、年齢も気にならなくなるでしょう。
ポイント
- ハミルトンの概要
- ハミルトンと鉄道・軍事・映画
- ハミルトンの代表コレクション
- ハミルトンが似合うファッションと年齢層
ハミルトンとはどんな時計?年齢制限がある?
ハミルトンの概要と、鉄道・軍事・映画産業との関わり、高級時計としてのイメージについて解説します。
ハミルトンとは
「ハミルトン(Hamilton)」は、1892年にアメリカのペンシルベニア州ランカスターで創業された時計会社です。1974年からは、スイスのスウォッチ・グループに所属しています。
公式には1892年創業となっていますが、実際には1874年頃から、アダムス&ペリー時計製造会社、ランカスターペンシルベニア時計、キーストンスタンダード時計、などが合併を繰り返し、ハミルトンの設立に至っています。そのため、スイスの時計ブランドのように、明確な創業者や、伝説的な時計技師というものが存在しません。
「ハミルトン」の社名は、施設の所有権を持っていた、スコットランド人弁護士「アンドリュー・ハミルトン(Andrew Hamilton)」に由来します。
ハミルトンはスイス時計としての高い信頼性を持ちながら、アメリカンテイストを残しているところが特徴です。特にアメリカの鉄道、軍事、映画産業とのつながりが深く、デザインにも反映されています。
ハミルトンと鉄道のつながり
今ではあまりイメージできないかもしれませんが、19世紀の世界では、誰もが正確な時刻を把握しているという概念がありませんでした。
正確な時刻、そして信頼できる時計が必要となったのは、鉄道が普及したためです。
1891年にオハイオ州キプトンで発生した列車事故は、機関士の時計が4分遅れていたためとされています。
この問題を受け、1893年に「レイルロード・アプルーブド(Railroad Approved)」という、鉄道時計のための品質基準が制定されます。これは週あたりの誤差30秒以内という、当時としては厳しい基準でした。
ハミルトンは、この基準に合格した最初の会社の一つであり、公式鉄道時計として高い評価を受けました。
また同時に、鉄道時計ということは高品質であることの証明でもあったため、一般にも広く普及していきました。
ハミルトンと軍事のつながり
ハミルトンは、鉄道の次に、軍需産業とも深い関わりを持つことになります。
第一次世界大戦
第一次世界大戦(1914~1918年)では、アメリカ軍向けに、鉄道時計で培った信頼性の高い懐中時計を供給しました。
また徐々に、懐中時計から腕時計へと移行していきました。
第二次世界大戦
第二次世界大戦(1939~1945年)では、100万個以上の時計や計器を供給しました。
特に、航海のために高精度が必要であった、海軍向けのマリンクロノメーターで知られています。
この時期のハミルトンは、一般市場向けの時計は販売せずに、軍需専門でした。
戦後
第二次世界大戦後は、培った技術を活かし、一般市場向けに高品質の時計を販売していきます。
現在では、当時のミリタリーテイストを活かしたデザインでも人気を得ています。
ハミルトンと映画のつながり
戦後は、映画産業と深い関わりを持っています。
ハミルトンの時計は、500以上の映画作品に登場しているとされていますが、代表的なものをいくつかご紹介します。
上海特急
ハミルトンの時計が映画に初めて登場したのは1932年公開の『上海特急(Shanghai Express)』です。
主演の「クライヴ・ブルック(Clive Brook)」が、「フリントリッジ」を着用しました。
フロッグメン
1951年公開の映画『フロッグメン(The Frogmen)』は、第二次世界大戦中の水中特殊工作部隊の活躍を描いた作品です。
ここでは「カーキ・ネイビー」の元となる時計が登場しました。
ブルーハワイ
ハミルトンと映画産業の関係で一番有名なのは、1961年公開の『ブルー・ハワイ(Blue Hawaii)』でしょう。
主演のエルヴィス・プレスリーが着用した「ベンチュラ」は瞬く間に人気となりました。
またエルヴィスは、撮影後もベンチュラを愛用し続けたことで知られています。
2001年宇宙の旅
1968年に公開されたSF映画の傑作『2001年宇宙の旅(2001: A Space Odyssey)』では、劇中に登場する様々な未来の時計を、ハミルトンがデザインしています。
メン・イン・ブラック
1997年から続く大人気シリーズ『メン・イン・ブラック(Men in Black)』では、「ウィル・スミス(Will Smith)」を始めとするエージェントが、「ベンチュラ」を着用しています。
パール・ハーバー
2001年に公開された映画『パール・ハーバー(Pearl Harbor)』は、1941年の世界を描いたものですが、その時代に実際に使われていた時計として「カーキ・フィールド」が着用されました。
インターステラー
2014年に公開されたSF映画『インターステラー(Interstellar)』は、時間がテーマとなっていて、時計が象徴的なシーンで使われています。
ハミルトンはこの映画のために、特別に時計をデザインしました。
通称「マーフウォッチ」としてファンの間で親しまれ、後に製品化しました。
踊る大捜査線
日本では何と言っても『踊る大捜査線』でしょう。
1997年のTVシリーズと、2012年の『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』では、織田裕二演じる青島巡査部長が「カーキ・フィールド」を着用しています。
モッズコートとともに、ミリタリー感のあるアイテムとして人気となりました。
ハミルトンは高級時計か
現在のハミルトンの値段は、10万円~20万円の範囲です。円高の時であれば、数万円から手に入るでしょう。
ステータスや、資産価値という点から見ると、高級時計と言えるかはギリギリのラインとなります。
一方で、創業から130年以上経っており、十分な実績もあることから、しっかりとしたブランドイメージは確立しています。
そのため、手の届きやすい高級ブランドという位置づけとなっています。
ハミルトンの代表モデルと年齢層
ハミルトンの代表コレクションと、似合うファッション、年齢層について解説します。
ハミルトンの代表モデル
ハミルトンは、特徴的なものから定番まで、多種多様なモデルを提供していることでも知られています。
ここでは代表的なコレクションをご紹介します。
ベンチュラ
「ベンチュラ(Ventura)」は、1957年に発表された、三角形でアンシンメトリーな形が特徴の腕時計です。
「ベンチュラ」とはスペイン語で、「冒険」や「偶然」を意味します。その形は「盾」をモチーフにしているとされています。
世界最初の電池式時計の一つとされています。セイコーがクォーツ式時計を発表したのは1969年ですが、初期のベンチュラはクォーツ式ではなく、機械のテンプ式+モーターという構成でした。
エルヴィス・プレスリーが、公私にわたり愛用していたことでも知られています。
ミッドセンチュリーモダンとは
「ミッドセンチュリーモダン(Mid-century modern)」とは、第二次世界大戦後の1940年代後半から1960年代、新しい時代を感じさせるアメリカで流行したデザインで、以下のような特徴があります。
- シンプル
- ポップな色使い
- 新素材
- 流線形
- 自然との調和
ベンチュラの独創的なデザインも、唐突に出てきた訳ではなく、このデザイン運動の影響を受けて生まれたものです。
当時、ベンチュラ以外にも三角形の時計は発表されていましたが、現在まで残っているのはベンチュラのみです。このことからも、ベンチュラのデザインがいかに洗練されていたかが分かります。
ジャズマスター
ハミルトンは1892年に創業されましたが、それはちょうど音楽の「ジャズ」が、アメリカ全土に広がっていく時でした。ジャズは「自由」と「革新」の象徴です。
1960年代から発売されている「ジャズマスター(Jazzmaster)」にも、その音楽性が反映されています。
また、ジャズのアドリブのように、多彩なモデルがありつつ、全体として統一感があることも特徴です。
アメリカン・クラシック
ハミルトンは、現在はスイスで製造されていますが、「アメリカン・クラシック(American Classic)」は、古き良きアメリカ時代を感じさせるようなコレクションです。
デザインの幅も広いので、シリーズごとに分けて考えるとよいでしょう。下記に代表的なものをご紹介します。
スピリットオブリバティ
「スピリットオブリバティ(Spirit of Liberty)」は、1982年創業当時のアメリカを感じさせるクラシカルなデザインのシリーズです。
革ベルトには、「Without liberty life is a misery(自由なき人生なんて惨めなものだ)」という、社名の由来となったアンドリュー・ハミルトンの言葉が刻まれています。
レイルロード
「レイルロード(RailRoad)」は、19世紀末から20世紀初頭にかけての、鉄道時代からインスピレーションを得たデザインのシリーズです。
バリアント
「バリアント(Valiant)」とは、「勇敢」という意味で、鉄道従事者への敬意を表したシリーズです。
シンプルでエレガントなデザインとなっています。
アードモア
「アードモア(Ardmore)」は、1930年代に発売されたシリーズを、現代的に再解釈したものです。「アードモア」とは、ペンシルベニア州にある町の名前です。
長方形のケースとクラシカルなデザインが特徴です。
レディハミルトン
「レディハミルトン(Lady Hamilton)」は、1930年代に最初に発売された、女性向けシリーズです。
アール・デコ様式の、美しいケースが特徴です。
バグリー
「バグリー(Bagley)」は、1939年より発売されたレディース時計の復刻版です。
気品のあるエレガントなデザインが特徴です。
ボルトン
「ボルトン(Boulton)」は、1940年代に発売されたドレスウォッチの復刻版です。
独特な形状のケースと、ヴィンテージデザインが特徴です。
イントラマティック
「イントラマティック(Intra-Matic)」は、1960年代に発売されたシリーズを、現代的に再解釈したものです。
シンプルかつクラシカルなデザインが特徴です。
ODC
「ODC」は、1968年に公開されたSF映画『2001年宇宙の旅』をオマージュしたシリーズです。
PSR
「PSR」は、1970年に発売された世界初のデジタル腕時計「パルサー(Pulsar)」の復刻版です。
レトロフューチャー感のあるLEDディスプレイが特徴です。
パンユーロ
「パンユーロ(Pan Europ)」は、1971年に発売されたクロノグラフを元にしつつ、当時のモータースポーツカルチャーを反映させた、レトロ感のあるデザインが特徴です。
クロノマチック
「クロノマチック(Chrono-Matic)」は、1970年代に発売された自動巻きクロノグラフムーブメントの復刻版です。
カーキ・アビエーション
「カーキ(Khaki)」とは、軍服によく使用される色のことで、アメリカ軍に納めていた軍用時計からインスピレーションを得た、ミリタリーテイストのあるコレクションです。
「カーキ・アビエーション(Khaki Aviation)」は、ミリタリーテイストがありつつも、スタイリッシュなデザインのパイロットウォッチです。
高い視認性と耐久性、そして航空に特化した機能である航空計算尺、クロノグラフ、デュアルタイムゾーンなどが特徴です。
カーキ・ネイビー
「カーキ・ネイビー(Khaki Navy)」は、ダイバーズウォッチやマリンウォッチのコレクションです。
防水性、視認性、耐久性が特徴です。
カーキ・フィールド
「カーキ・フィールド(Khaki Field)」は、アウトドア向けのコレクションです。
シンプルでヴィンテージ感のあるデザインが特徴です。
ブロードウェイ
「ブロードウェイ(Broadway)」は、ニューヨークをイメージして作られた、都会的なコレクションです。
都市生活に合うような洗練されたデザインが特徴で、ビジネスでもカジュアルでも使えるようになっています。
余談として、ブロードウェイミュージカルに「ハミルトン」というタイトルの作品がありますが、これはアメリカの建国に関わった「アレクサンダー・ハミルトン(Alexander Hamilton)」に関するものです。
時計ブランドのハミルトンは「アンドリュー・ハミルトン(Andrew Hamilton)」から来ているので、無関係です。
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ハミルトンが似合う人
ハミルトンが似合う人、似合うファッションスタイルについてご紹介します。
アメカジ好き
ハミルトンは、スイス製ながらも、アメリカンスピリットを残した時計ということで、やはりアメカジファッションが似合います。
アメカジにもいくつかのスタイルがありますが、上記でご紹介した通り、19世紀末から20世紀にかけての、様々な時代のアメリカを反映した時計を作っていますので、自分のスタイルにあった時計を見つけやすいです。
ミリタリーテイスト
ミリタリーはアメカジのサブジャンルでもありますが、まさにハミルトンにぴったりのスタイルと言えます。
現在のハミルトンは、現役ガチガチのミリタリー時計というより、ミリタリーテイストのあるブランドという感じが強いので、ファッションアイテムとしても取り入れやすいです。
映画好き
ハミルトンの時計は、様々な映画で使われているだけでなく、コラボ製品も多数出しています。
映画好きならば持っておきたい一本です。
個性派
ハミルトンは、ベンチュラに代表されるような個性的な時計も持っています。
流行に左右されない、自分のスタイルを貫きたい人に合っているでしょう。
ハミルトンの年齢層は?
年齢別のハミルトンとの関係についてご紹介します。
20代
ハミルトンの時計は、まさに20代にぴったりの時計と言えます。
だいたい10万円~20万円の価格となっているので、初めて買う高級時計として、最適の一本となるでしょう。
30代
ハミルトンは、カジュアルでもビジネスでも、様々なシーンに合う時計が多いので、30代にもふさわしい時計です。
日常使いできる一本として大活躍できるでしょう。
40代・50代
少し困るのは、40代以上です。
ハミルトンは、高級ブランドと言えるかどうかは、微妙なラインです。感覚としては、大学の入学祝いに贈られる時計です。(卒業祝いではなく)
ハミルトンを着けていて馬鹿にされるということはありませんが、「なんでハミルトンなんだろう……」と疑問に思われることはあるかもしれません。
そこで、なぜハミルトンなのか、理由を説明できるかがポイントとなります。
イメージとしては、やはり『踊る大捜査線』の青島刑事ではないでしょうか。
周囲に流されず、自分の意見と流儀を持っている。そんな、芯の強い成熟した大人の時計と言えるでしょう。
ハミルトンのレディースは?
ハミルトンは、女性にとってはなおさら「あえてのハミルトン」となります。
ベンチュラなど、(物理的にも)尖ったデザインのタイプは、上手く取り入れれば、ファッション全体を引き締めるアクセントとなります。
アメリカンクラシックのアードモアやレディハミルトンなどは、幅広いシーンで使えるでしょう。
まとめ ハミルトンは年齢を選ぶか
記事の内容をまとめます。
- ハミルトンは、1892年にアメリカで創業された時計ブランド
- ハミルトンは、1974年にスイスのスウォッチグループ所属となり、生産拠点もスイスに移った
- ハミルトンは、アメリカの鉄道・軍事・映画産業との関わりが深い
- ハミルトンの時計は、スイスの信頼性と、アメリカンテイストを持つことが特徴
- 三角形の時計ベンチュラは、エルヴィス・プレスリーが愛用したことで有名
- ハミルトンのミリタリーウォッチは、踊る大捜査線の青島刑事が着用したことで有名
- ハミルトンは、10万~20万円と、高級ブランドとしては低価格帯となる
- ハミルトンの時計は、20代~30代であれば、最初の一本や、日常使いとして最適
- ハミルトンの時計は、40代以上になると、ステータスにはならいないので、自分のスタイルを持っているかが重要