インターネット回線は1Gbps以上が当たり前の時代ですが、実際にそこまでの速度が出ないことがほとんどです。特にマンション共有の場合は、共有しているのだから遅くなって当たり前? ここでは、そもそも1Gbpsとは何かから、分かりやすく簡単にご説明します。
マンション共有1Gbpsってどういう意味?
1Gbpsとは?
「Gbps」とは「Giga bits per second」の略で、「ギガビーピーエス・ギガビット毎秒(まいびょう)」と読みます。「1Gbps」は「1秒間に1ギガビット」のデータを転送できるということを意味します。
「1ギガビット」とは「10億ビット(1,000,000,000bits)」のことです。
ビットとバイトの違いって何?
「bit(ビット)」は「binary digit」の略で、2進数の数値(0か1)を意味します。コンピューターの世界は2進数で計算されていますので、データの最小単位となります。「1Gb(ギガビット)」は、0か1が10億個並んだデータ量ということです。
「byte(バイト)」は8ビットのことです。「1byte=8bit」です。なぜバイトが使われるのかというと、1ビットは0か1なので、2つの状態しか扱えずに使い勝手が悪いからです。8ビットであれば2の8乗なので、256個の状態を扱え、人間にとってはちょうどいい感じになります。ある程度の数をまとめるのが目的であれば、1バイトが4ビットでも、10ビットでも、12ビットでもよかったはずですが、歴史的な経緯により「1バイト=8ビット」に落ち着きました。
ここで問題なのが、コンピューターの世界ではビットとバイトが両方使われており、混同されがちだということです。「ビットは小文字で(b)」「バイトは大文字で(B)」と表され、似ていることも問題です。
1 Gb(ギガビット) = 1,000,000,000 b(ビット)
1,000,000,000 b ÷ 8 = 125,000,000 B(バイト)
125,000,000 B ÷ 1,000 = 125,000 KB(キロバイト)
125,000 KB ÷ 1,000 = 125 MB(メガバイト)
125 MB ÷ 1,000 = 0.125 GB(ギガバイト)
つまり「1Gbpsとは1秒間に125MBデータ転送できる通信速度」ということです。「1秒間に1GBではない」という点に注意が必要です。
コンピューターの世界では、データ容量はバイト(B)、通信速度はビット(b)で表されることが多いです。一般的な感覚ではバイトの方が馴染みがあるので、なぜ通信速度はバイトではなくビットなのかと疑問に思うところですが、もともと「バイト」は区切りを意味していただけで「1バイト=8ビット」という決まりはなく、コンピューターのメーカーによって異なっていたため、間違いを防ぐために最小単位であるビットが使われた、というのが主な理由のようです。「1バイト=8ビット」が国際規格となったのは2008年のことです。
1Gbpsってどれくらい?
1Gbpsは毎秒125MBのデータを転送できることを意味します。
例えば、音楽ファイルは一曲5MBほどなので、1秒間に25曲ダウンロードできることになります。映画は2GBほどなので、16秒でダウンロードできます。10GBの大容量データでも80秒です。
ただし、1Gbpsは理論上の最大速度であり、常にこの速度が出るわけではありません。多くの通信機器を経由するのでそれぞれの制約を受けますし、PCやスマートフォン内の性能の問題もあります。
インターネット無料マンションってどういうこと?
マンション等の集合住宅で、「インターネット無料」「インターネット完備」「インターネット対応済み」などの説明が書かれていることがあります。ただしこれらが何を意味するかは、その建物や契約によるので、個別に確認するしかありません。しかし困ったことに、大家さんや管理人さんも分かっていないことがあります。その場合、ご自身でNTTやauへの確認が必要となることがあります。
一般的に「インターネット無料」「インターネット完備」であれば、回線契約が済んでいるので、入居後すぐにインターネットを利用できます。この場合追加料金は無料です。無料というよりは、家賃に含まれていると考えたほうがよいでしょう。
「インターネット対応済み」であれば、インターネット回線が(途中まで)ひかれているので、後は契約だけしてくださいという意味です。この場合、自分で料金を支払う必要があります。
マンション共有1Gbpsって遅い?
実際に試してみるしかありません。契約前に試すことができればいいのですが、昼間は速くても、夜になると遅くなるということもあります。使用している回線や、方式、プロバイダーなどは事前に確認することもできますが、共有している人の利用状況によるので、運としかいいようがありません。
回線を共有する仕組み
マンションなどの集合住宅のインターネット回線は、主に「光配線方式」「LAN配線方式」「VDSL方式」があります。速度・安定性は「光配線 > LAN配線 > VDSL」となります。
光配線方式
電柱からマンション内の共有スペースまで光回線で接続され、各部屋までも光回線で接続されます。新しい建物であれば、ほぼこのタイプです。
LAN配線方式
電柱からマンション内の共有スペースまで光回線で接続され、各部屋まではLANケーブルで接続されます。光ファイバーはガラスやプラスチックでできているので、柔軟性がなく、大きく曲げることができません。建物の構造上、光ファイバーが引けない場合に使用されます。
VDSL方式
電柱からマンション内の共有スペースまで光回線で接続され、各部屋までは既存の電話回線で接続されます。新しく回線を引くことができない古い建物などで使用されます。
さらに分岐
ひどい場合だと、これらの分岐された回線を、さらに分岐して使用していることがあります。こうなると回線速度はまったく期待できません。
Wi-Fiだった
さらには有線接続ではなく、Wi-Fiが飛んでいるのでそれを使ってください、というだけの場合もあります。
その他
ケーブルTVや電力会社が提供しているインターネットサービスは、それ以外の方法で提供されていることがあります。
マンション共有より戸建ての回線の方が速い?
電柱の共有部分から分岐するか、マンション内の共有部分から分岐するかの違いなので、仕組み上の差はありません。結局のところ、どれだけの人数で共有しているか、どんな使われ方をしているかによります。集合住宅の方が埋まりやすい傾向があるとは言えますが、最後は運です。
マンション共有で1Gbpsなのに、100Mbpsしか出ない!何で!?
インターネット速度が遅い理由は様々な要因がありますので、一つずつ確認していくしかありません。また遅いというより100Mbpsでしかリンクアップしないという場合は、どこかに古い機器やケーブルが混ざっている可能性が高いです。
ここではよくある原因と対策方法をご紹介します。
LAN配線方式・VDSL方式だった
導入された時期にもよりますが、LAN配線方式やVDSL方式の場合、理論値で最大100Mbpsになっていることがあります。こうなると設備を変えない限り100Mbps以上は出ません。
設備変更で対応可能な場合もありますが、基本的には「光配線方式」を目指したいところです。引っ越しをするしか方法はないかもしれません。
速度制限されたプランだった
光配線方式であっても速度の上限が設定されている場合があります。NTT東日本の「フレッツ光ネクスト マンション・ハイスピードタイプ」、NTT西日本の「マンション・ハイスピードタイプ」などが該当します。
プラン変更が可能か確認をしてみましょう。
速度制限がかかった
特にモバイル回線の場合は、毎月のデータ使用量が定められていて、上限を超えると速度制限がかかるプランの場合があります。月末になると遅くなるのであれば制限に引っかかった可能性があります。
契約しているプランの内容を確認してみましょう。
古いルーターだった
かなり古いルーターの機種の場合100Mbpsまでしか対応していないことがあります。
新しいルーターへ交換してみましょう。
ルーターへの接続台数が多い
現在は、個人でもPC・スマホ・タブレット・ゲーム機と複数の端末を持つのが当たり前です。安価な家庭用ルーターだと、接続台数の目安が10台程度であることがあります。モバイルルーターだと5台程度です。家族が複数台持つだけで簡単にキャパオーバーしてしまいます。
接続台数を減らすか、高性能なルーターに変更しましょう。
ルーターの熱暴走
ルーターは24時間電源が入りっぱなしで、見えない所に置かれている事がよくあります。場所によっては熱がこもって誤動作をしてしまうことがあります。
ルーターは、直射日光が当たらずに、通気性の良い場所に置くようにしましょう。
古いスイッチングハブだった
LANケーブルを分岐する「スイッチングハブ」という機器が使われていることがあります。「10BASE-T」「100BASE-TX」「1000BASE-T」などの規格があり、古いスイッチングハブだと100Mbpsまでしか対応していないことがあります。
1Gbps以上に対応した、新しいスイッチングハブに交換をしましょう。
古いLANケーブルだった
LANケーブルは見た目が同じでも、規格の違いにより最大通信速度が決まっています。
古いLANケーブルだと「カテゴリ5」の場合があります。家庭用であれば「カテゴリ5e」以上のLANケーブルを選ぶようにしましょう。値段の問題もありますし、他の機器の対応も必要ですので、最新の規格であればいいという問題でもありません。
カテゴリ | 最大通信速度 | 伝送帯域 |
---|---|---|
5 | 100Mbps | 100MHz |
5e | 1Gbps | 100MHz |
6 | 1Gbps | 250MHz |
6A | 10Gbps | 500MHz |
7 | 10Gbps | 600MHz |
7A | 10Gbps | 1,000MHz |
8 | 40Gbps | 2,000MHz |
Wi-Fiの通信規格が古かった
Wi-Fiには規格があり、最大通信速度が決まっています。
どの規格に対応しているかは機器によるので、古い機器では速度が出ない可能性があります。また設定を間違えて古い方式で接続していないか確認をしましょう。
規格 | 最大通信速度 | 周波数 |
---|---|---|
IEEE 802.11 | 2Mbps | 2.4GHz |
IEEE 802.11b | 11Mbps | 2.4GHz |
IEEE 802.11a | 54Mbps | 5GHz |
IEEE 802.11g | 54Mbps | 2.4GHz |
IEEE 802.11n | 600Mbps | 2.4GHz / 5GHz |
IEEE 802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz |
IEEE 802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz / 5GHz |
Wi-Fiの電波状態が悪い
現在は多くの無線機器があるので、電波が干渉して通信状態が悪くなりがちです。特に2.4GHz帯は多くの機器が使用しているだけでなく、電子レンジとも干渉します。
基本的には5GHz帯の方が干渉が少ないと言われていますが、回り込みが効かずに障害物に弱いという欠点もあります。2.4GHzと5GHzのどちらがいいかは場合によります。
またWi-Fiルーターを設置する場所も重要です。なるべく障害物のない、高い場所に設置するようにしましょう。
PCやスマホの性能不足
パソコンやスマホの性能や、セキュリティソフトなどの使用環境の問題で、通信速度が遅くなっている場合があります。
複数台持っている場合は、それそれで速度に違いがあるか確認してみましょう。どれか一つだけで遅い場合は、その端末の問題の可能性があります。
インターネット接続方式が古い
従来インターネットに接続するには「PPPoE」という方式が取られていました。しかしこの方式は、通信会社の終端装置という機器内で輻輳(ふくそう)し、通信速度が低下するという特性があります。特にコロナ禍で在宅ワークが増えると、この問題が大きくなりました。現在はそれを解消した「IPoE」という方式が主流です。
昔からインターネット契約をしている方はPPPoEのままになっている可能性があります。IPoEに変更可能か確認してみましょう。
共有回線が埋まっている
一般的に、戸建ての場合も、集合住宅の場合も、インターネット回線を複数人で共有していることに違いはありません。他の人の使用方法によって、通信速度が低下することがあります。決まった時間に遅くなる場合はこの問題の可能性が高いです。
共有が嫌なのであれば専用回線をひくしかありませんが、個人で利用するのはハードルが高いです。
または、専用回線ではないけれども速度保証がされているサービスもあります。一般的なベストエフォート(最大限努力はします)に比べると高額となっています。こちらも、基本的には個人向けではありませんが、業務等で必要な場合は検討してみましょう。
一番遅いところが最高速度となる
上記のように色々な原因を見てきましたが、難しいのは、これらのどれか一つが遅くても駄目ということです。
例えば、1Gbpsの回線を契約したとしても、途中のLANケーブルどれか1本でも「カテゴリ5」が混じっていれば、最大通信速度は100Mbpsとなり、それ以上出ることはありません。
ですから、通信速度が遅いと感じた場合は、問題を一つずつ丁寧に確認していく必要があります。
マンション共有1Gbpsでおすすめのインターネットサービス
IPoEならとくとくBB光
通信速度が速くなる「v6プラス(IPv6 IPoE + IPv4 over IPv6)」を検討するならば、「とくとくBB光」がおすすめです。
インターネット接続プランは、オプションがたくさんあったり、条件がいろいろあったりと、結局どれを選んだらいいか分らなくなりますよね。「とくとくBB光」は、シンプルに安くて、速くて、安定しています。とりあえず選んでおいて間違いありません。
マンションタイプは月額3,773円(税込)です。
まとめ マンション共有1Gbpsが遅い理由
マンションタイプであっても、戸建て(ファミリー)タイプであっても、回線を共有していることは同じです。ただマンションタイプの方が、共有している人が多くなりがちなので、その分遅くなる可能性も高まります。
またマンションタイプの場合、共有施設から各部屋までの配線方式が重要です。通信速度を望むのであれば、光配線方式の建物を選びましょう。
光配線方式であっても、様々な要因で通信速度は遅くなります。また100Mbps以上出ないという場合は、古い機器が混じっている可能性があります。通信速度は一番遅いところが上限となってしまいますので、一つずつ確認していきましょう。